X.決戦
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、それでも作られてから三百年は軽く越えるものだ。“太閤の扇”とは言うものの、名前の由来は知られていない。一つ言えることは、かなりの霊力があると言うことだけだ。ま、身を護れる武器ではないが。
「お借り致します。」
そう言って本間はそれを受け取った。
一方の颯太は、ただ静かに指示を待っていた。彼は魔除けの香を焚いているから、どうと言うこともないだろう。
しかし、彼はその音楽が何よりも魔除けかも知れない。そう思わせるのは、半年ほど前に再会した友人のせいかも知れないな…。
「さて、始めよう。いと哀しき姫君に、永久の平安を与えんために…。」
僕がそう皆に言うと、本間が呪符を取り出して、弱った結界を張り直した。
「臨・兵・闘・者・皆・陳・烈・在・前…!」
そう言って、手にしていた呪符を空へと投げた。
すると、呪符は四つの神獣の形を取って四方へと散った。それは“朱雀"“白虎"“青龍"“玄武"であり、六宝装に合わせてのことだろう。
僕はこの呪符を使えない。これは本間家にのみ伝わる呪符なのだ。
「しかしなぁ…。没年も分からず遺品すらないのだ。絶対とは言えないぞ…?」
「何もやらねぇよかマシだろ?」
「私も同感です。旦那様、ここは六宝装に頼ってみてはいかがかと…。」
「これに…か…。」
これだけの霊力があれば、確かにどうにかなる。が、解呪としてではなく、これでは春桜姫の魂を滅してしまうことになる。霊力が強すぎるのだ。最後の手段として使うのであれば致し方無いが、出来れば使いたくはない…。
その事を心にしまい込み、僕は皆に言った。
「よし…始めよう。」
考え躊躇っている時間は無いのだ。
僕の合図と共に、颯太と本間の二人は直ぐ様反応した。春桜姫はそれを阻止しようと力を放っていたが、本間が張った結界と春代さんが張った結界、そして僕の身に付けている六宝装の力に無力化され、それは僕達を阻むことは出来ずに四散たのだった。
愛した者に殺された姫。しかし、何かが違う…。僕はそんな違和感を感じていた。
もしかしたら…古にあった哀しき恋物語の結末は、伝承とは全く異なるのではないのか?
だとしたら…。
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