暁 〜小説投稿サイト〜
勇者番長ダイバンチョウ
第19話 命を懸けた脱走! 昨日の敵は今日の友
[8/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
チョウになりゃどんな奴らが来ても負けるこたぁねぇぜ」
【番トラの場所なら私が把握している。連中に接収される前に私が極秘に隠してい置いた】
「流石イインチョウだ。お前将来出世するんじゃねぇのか?」
【よしてくれ。私はこうして悪の道を行くんだ。出世どころか、今後の未来は暗いだろうさ】

 乾いた笑みを浮かべて自分の置かれた状況を嘲笑うイインチョウ。彼からして見れば自分が憎んでいた悪の道へ敢えて飛び込もうとしている。
 はっきり言って愚行中の愚行と言えた。今後彼は宇宙警察を裏切った卑しき存在として宇宙中にその名を刻まれる事となるだろう。
 彼にはもう輝かしい未来など訪れる事はない。だが、それを承知でこうして悪の道を進んだ彼を誰が責められようか?
 誰にも彼を責める権利などない。自分の中にある本当の正義の為に敢えて悪となった彼の苦悩を、誰が理解してくれようか。

「ま、お前の言ってる事は良く分かんねぇけどよ。未来なんて大概そんなもんじゃねぇのか?」
【何が言いたい?】
「未来が暗いだの明るいだの、そんなの誰も分かる訳がねぇ。そんなの実際に見るまではどんなもんなのか誰にも分からないってこったよ。だから、お前もそんな悲観的になるんじゃねぇっての。確かにお前は宇宙警察を敵に回したかもしれねぇけどよ。その代わりにこうして俺が仲間になったんだろ?」

 自分を指さしながらバンチョウは笑った。彼の自信に満ちた笑みは何処か見てると安心させてくれる。全く根拠のない笑みではあるのだろうが、それでも今のイインチョウには彼の笑顔が何よりも救いに思えた。





 イインチョウとバンチョウが訪れたのは宇宙警察本部内の廃棄処分施設内だった。
 辺り一面がらくたが散乱しており、物を隠すには絶好の場所と言えた。

「こりゃまた、随分と凄い場所に隠したな」
【木を隠すには森の中と言うだろ。本部内は何処も監視カメラが動作しているが、この中だけはない。隠すには絶好の場所と言う訳だ】
「なるほど、そりゃ言えてるな」

 イインチョウが言いながら目の前のがらくたを手でどけ始める。しばらくすると、がらくたの山の中から番トラの姿が現れた。
 ガラクタの山をカモフラージュとして隠していたようだ。

「おぉ、俺の番トラだ。しかも傷だらけだったのが綺麗に直ってやがる!」
【一応私が修理しておいた。完全とはいかないだろうが戦闘もこなせる筈だ】
「十分十分、其処までしてくれりゃ言う事なしだぜ・・・ん?」

 ふと、番長は番トラの近くに何かあるのに気づいた。それは小さなカプセル状のものだった。
 丁度人間一人が入る位の小型カプセルが其処にある。

「何だ、こりゃ?」

 気になり、カプセルを凝視する。中に人の影のようなものが見える。だが、誰な
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ