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勇者番長ダイバンチョウ
第19話 命を懸けた脱走! 昨日の敵は今日の友
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人を秘密裏に釈放?
 そんな話は聞いた事がない。
 ましてや、あのジェネラルがゴクアク組と裏で関係を持っていたと言う事にイインチョウは驚きを隠せなかった。

「にしてもよぉ、ジェネラルも良いご身分だよなぁ。噂じゃ、奴らからたんまり金塊を貰ってるって話だぜ」
「俺達は此処でしがない看守やってるってのによぉ。全く、上の連中は羨ましい限りだぜ」
「んで、その見返りとして、奴らの暴挙を見て見ぬふりをしてるって話だし、万が一組員を逮捕してもジェネラルの意思一つで簡単に釈放させられるってんだからよぉ。いやぁ、正義の言葉も使いようってのはこの事だな」

 イインチョウの中での正義が崩れる音がした。
 今まで、自分が貫いてきた正義とは何だったのか?
 今まで、自分が信じて来た正義とは何だったのか?
 今まで、自分は何を正義だと思って生きて来たのか?
 そのすべてが分からなくなってしまった。
 そして、同時に沸き上がるのはかつての上司であるジェネラルに対する激しい怒りと失念だった。
 かつて、正義の見本として仕え、彼を目標としていたイインチョウにとっては、あまりにも辛い内容だった。

「んで、それであいつらの処遇はどうするんだよ? 宇宙裁判にでも掛けるのか?」
「いや、あいつらはゴクアク組に逆らったからそれはなしだ。話によると地球でのゴタゴタを全部あいつらのせいにして宇宙の秩序の名の下に処刑するって話だぜ」
「おぉ、怖っ! 臭い物には蓋をするって良く言うけど、その蓋の役目をあいつらに押し付けようって魂胆か。くわばらくわばら」

 ダイバンチョウを処刑・・・だと!?
 それが何よりも衝撃を受けた。
 確かに、道理としてはその通りだ。ジェネラルにとって見ればゴクアク組と敵対しているダイバンチョウを生かしておくメリットはない。
 かと言って何時までも此処に置いておく訳にもいかない。
 となれば処断するのが最も適切かつ手っ取り早い方法と言えるだろう。
 だが、其処に正義は存在しない。
 あるのはただ、薄汚い欲望と野心、そしてどす黒い悪意しかない。
 もし、このままダイバンチョウが処刑されれば、自分もまたその悪の片棒を担いだ事になる。
 それで良いのか? それを許せるのか?
 
 イインチョウは悩んだ。彼の信じる正義はどうしたいのか?
 悪を助ければそれは自分は正義を捨て悪に身を投じる事になる。
 だが、このままあの悪を見捨てればそれは悪に加担し知らず内に悪事を担う事となる。
 悪に身を落とすのか、それとも悪に手を染めるのか。
 どちらに転んでも悪しかない。ならば、どちらの悪になるべきか。
 イインチョウは迷わなかった―――




      ***




 しりとり、りんご、ゴ〇ラ、らっかせ
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