第19話 命を懸けた脱走! 昨日の敵は今日の友
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内を見せずに対話をしていた。
表面上では仲良くしているのだろうが、両者とも腹の内ではいずれ袂を分かつつもりでいた。
所詮は正義と言う名の皮を被った悪同士の会話でしかないのだから。
***
地球から連れてこられた番達は、今犯罪を犯した宇宙人専用の特殊牢獄に入れられていた。
この牢屋の鉄格子は特殊製で、どれだけ力を入れても破壊する事は出来ず、更には1000万Vの高圧電流が絶えず流れ続けている仕様だ。下手に触れば黒焦げになるのは目の見えていた。
それ以上に、今番達はまともに動ける状態ではなかったのだ。
「バンチョウ・・・今どんな状態だ?」
【駄目だ、腕一本すら動かせねぇ。あん時相当無茶しちまったせいだな】
番の問にバンチョウは答えた。二人とも先の戦いで殆どエネルギーを使い果たしてしまっていたのだ。
以下に気合と根性を持ったとしてもエネルギーがなければ動く事も出来ない。
正直こうして喋るだけでもかなり辛い状況なのだ。
「バンチョウ星人、それと地球星人。お前らの飯だ」
看守から放り込まれたほんの僅かなエネルギーキューブ。それをバンチョウは這いずりながら掴み取り、口の中へと放り込んだ。
バントラは此処に来た際に強制分離されて隔離状態。現在番はバンチョウと融合状態だった為に一つのエネルギーキューブを食べればそれで両者ともにエネルギーがほんの僅かに回復する事が出来た。
「しっかし、この角砂糖みてぇなの不味いなぁ。味も何もしやしねぇ」
【仕方ねぇだろう。元々はエネルギー補給用の為だけの代物だからな。にしても超不味いぜ】
「あぁ、銀シャリが食いてぇ・・・今頃地球じゃどうなってんだろうなぁ」
【さぁなぁ・・・】
不味いエネルギーキューブを食べ終わり、再び狭い牢屋の中で大の字になるバンチョウ。今の彼らには成す術がない。今はひたすら無駄なエネルギーを消費しないように勤める他ないのだ。
【宇宙の暴れ者と言われたバンチョウ星人がいやに大人しいじゃないか】
鉄格子の向こうから声が聞こえて来た。
イインチョウの声だった。どうやら身動き一つ取れないバンチョウ達を見にやって来たと言った所なのだろう。
「何の用だよ。今更尋問でもしようってのか?」
【私にその権限はないし、する必要もない。ただ、少し話がしたくてな】
「・・・何だよ?」
寝転がっていたバンチョウが身を起こし、イインチョウの方を向く。
鉄格子越しに互いの視線がぶつかり合う。
正義と悪―――
互いに相いれない関係である事は承知している。だが、イインチョウにはこのバンチョウ星人と地球星人が悪人とは思えないのだ。
確かに悪である事に変わりはないだろうが、今まで逮捕して
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