第19話『剣の時代が終わる時〜ナヴァール騎士団全滅!?』【アヴァン】
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ガヌロンの思惑はどうだか知らないが、公爵はこう告げた。
――陛下の心を病ませ、民を苦しめるムオジネルの飢狼どもを一掃してほしい――
西の『末端』に防衛拠点を敷く彼らにも聞こえ、全くもって不愉快極まりなかった。
民を奴隷とし、それも『薪』程度の認識しか持ち合わせておらぬ外道の連中に、屈するわけにはいかない。
アスヴァール、ザクスタンの守りを放棄してまで、ロランを向かわせるガヌロンの意図は読めない。
だが、今こうしてムオジネルにブリューヌの大地を蹂躙し ようとしている現実がある限り、戦わねばならない。
誇りと意地と精神のワルツが、己が律動が理性を許さない。
――すまない。オリビエよ――
情勢を見極めるに長けたお前の瞳からすれば、愚かな選択かもしれんな。
だが――
その衝動に従ったのは正しき選択だった。
くすんだ赤髪の弓使いの少年の姿――その背中を守るのは、青髪の槍を振るう少女の姿。
ロランの魂は熱く震えた。
オーランジェ平原でのヴォルン伯爵の言葉。
――ブリューヌの民を守るために、あなたの言う『侵略者』と戦おう――
一騎打ちの直前に告げた言葉に、嘘偽りなど無かったのだから。
とはいえ――
戦況の旗色がかなり悪い。
兵力の物量に適ったムオジネルの戦術が 、援軍として駆け付けた『流星の騎士団』を圧壊しようと攻め立てる。
彼らはよく戦っているが、兵力を向こうに回して、いずれ追い込まれるのは目に見えている。
――――ヴォルン伯爵
貴殿は何を想い、その弓弦を引き続け、戦い続ける?
叛逆者である貴殿が……?
目前ではめまぐるしく入れ替わる敵と味方――自分が討つべき敵はもはや明白だ。
この日、後に『オルメア会戦』と呼ばれる戦いの中で、互いの信念を認め合った。そして確信した。
――そうだ。ともに戦う『勇者』たちがいれば、どのような敵がこようとも、決して負けることはない――
――この『仲間』たちさえいれば……――
辛くも勝利して、再び西方へ帰還する我らは、再び『時代の動乱』の渦 に巻き込まれていく。
渦に巻かれ、風と共に舞い込んできたのは、凶報の要件。
テナルディエ、ガヌロンの両家は反逆決起を宣言。
銀の逆星軍の樹立を宣言し、その証としてヴォルン伯爵率いる銀の流星軍を打ち破ったと。
正式に下されるボードワン宰相からの命令――逆賊テナルディエ、ガヌロンを討て。
そう……我々『ナヴァール騎士団』に勅命を下した。
分かりやすい正義。
分かりやすい敵。
そして何よりも、果たさねばならないヴォルン伯爵との大義。
彼が朽ち果てたとは思っていない。
ただすべきことは、ヴォルン伯爵の正義を認めた証として、この
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