第19話『剣の時代が終わる時〜ナヴァール騎士団全滅!?』【アヴァン】
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)らせた『魔弾』が、その目にありありと浮かんだ『正義の矢』がロランの胸を差し、静かに問いかける。――ロラン。お前の信じる正義は、何なのかと。
天上を見守る神々は何を思って、俺とヴォルン伯爵を 戦わせた?
民を守るために、宝剣を授かった。
その授かった剣で、俺の本当に斬り伏せるべきものは何なのだ?
俺は今……何を斬り捨てようとしているのだ?
――守るために!!!!――
ロランは衝動に突き動かされるように、『不敗』を以って『魔弾』をねじ伏せた。
結果――ロランの肉体は降伏を宣言した。腕が上がらんと。
迷いを捨てきれなかった結果がこれか。
だが、心のどこかで、迷いの晴れたかすかに、晴れたものさえも感じていた。
強すぎる信念は、己が心を『盲目』にしてしまう。異なる正義を持つものを、殲滅するまで戦いをやめはしないのだから。
迷いは、己にも同志にも『死』を容易にもたらしてしまう。しかし、迷うからこそ、いくつもの未来の 可能性へ気づくことだってできる。
そう――ヴォルン伯爵を反逆者にしたのは誰なのか……を――
初めての敗北という、このような結末に辿り着いたこと……裁定に無慈悲な女性、断罪の女神の下した審判なのか?
『デュランダル』――既に正義を疑いつつある自分にとって、この宝剣の名はあまりにも矛盾している。
結局、自分は何をしてきたのだろうか?
奸計な敵の言葉に耳を傾けず、ただ一刀のもとに斬り伏せる。宝剣の輝きに目が曇り、幻実ともに盲目となっていたのだろうか?
本来であれば宝剣の輝きは、守るべきものをほのかに照らす『晶光』でなければならないはずだ。はずなのに――
守るべき何かが見えていなかったのだろうか?
敵の甲冑を、盾を 、剛剣を砕くデュランダルを以てしても、『目に映らない』ものを斬り捨てることはできない。
なおのこと、オリビエから聞きした『勇者』の存在に、別種の尊敬さえ抱いてしまう。
――シシオウ……ガイ――
政敵ガヌロンと敵国ジスタートをけん制する目的で、アルサスを焦土とせしがたん為に動くテナルディエ軍三千を、たった一人でを迎え撃った勇気ある青年の名前。
打算がないから、益を求めることもなく――
情に深いから、理由で動くことができる。ただ「助けて」という、難しい理由などいらない声で――
騎士として完璧なのだ。その男は。
その男……ガイと同じように、気高い精神の元で、『民を守る』為に戦いたいと願った。
戦いを望まずとも、騎士の本懐を遂げ るその時は必ず来る。
待った甲斐あり――訪れたのは、ムオジネルの『飢狼』共。
ヴォルン伯爵を取り計う為に、陛下に謁見するのを狙ったかのように飛び込んだ、火急の知らせ
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