花園の章
Z
[21/22]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
切り、この先を言うべきかどうかを考えている様子だったため、マルコはミヒャエルへと言った。
「国王陛下。陛下が我らにへりくだることは御座いません。我らに出来ることがあれば、何なりとお申し付け下さいませ。」
「では…告げよう。汝らの娘、アリシアを我が妃に迎えたい。」
ミヒャエルは少し恥ずかしげにそう伝えると、ウォーレン夫妻は驚きのあまり、もう少しで腰を抜かすところであった。
予てより娘アリシアが好意を寄せていたことは知っていたが、まさかミヒャエルがそれを受け入れるとは考えもしていなかったのである。
「な、なんと!我が娘をで御座いますか!?」
「あなた、どうしましょう!一介の民の娘が、国王に嫁ぐなんて…。」
ウォーレン夫妻はなんと返答してよいものか思案に暮れ、ミヒャエルの前で右往左往していた。そこにレヴィン夫妻が微笑みながら二人に言ったのであった。
「ウォーレンさん、お嬢様の心に従えば良いのではないですかな?」
「そうですわ。プレトリウス初代国王陛下は、貴族ではない民の娘を自らの妃に選んだのですもの。悪いことではありませんし、愛は自由なものでしょ?」
そう言われたウォーレン夫妻は、その場にアリシアを呼び寄せてどうしたいかを問い掛けたのであった。
アリシアは暫く両親とミヒャエルの顔を交互に見詰めてはっきりと言った。
「私は…ミヒャエル様のお側に居たいですわ。」
そのアリシアの言葉に、ウォーレン夫妻は顔を見合せて溜め息を洩らし、そしてミヒャエルへと膝を折って言った。
「陛下。我らが娘で宜しければ、どうかお側に置いて頂きたく存じ上げます。」
「では、お二方は私の義父母になられるのですね。」
「そんな勿体無い!」
この会話に再び笑いが溢れ、そして拍手が沸き起こったのであった。
この祝賀に集まりし者らは、この後ミヒャエルを助け、ミヒャエルと共に国を黄金期に導く者となるのである。
- 父上…私は幸せ者です。こんなに多くの人々に祝福されているのですから…。 -
ミヒャエルがそう胸の内で呟いた時、壁際に二人の人物がいることに彼は気が付いた。
「…!」
しかし次の瞬間、その姿は霞の如く消え去っていたのであった。その一人は黒い外套を羽織っており、騎士のようであった。だがもう一人は、忘れもしないベルディナータの姿…。
- 聖エフィーリア様に…時の王…!? -
そう思ってはみたものの、それを確かめる術をミヒャエルは持ってはいなかった。だが、この二人の聖人も民の笑顔を喜んでくれるに違いないとミヒャエルは思い、善き王になろうと再び自らの心に堅く誓ったのであった。
そんなミヒャエルの周囲には他に、ラタンで出会ったネヴィル夫妻にレクツィの医師ツェラー、それにミヒャエルの親友であるユディにレヴィン夫妻の旧友ジ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ