花園の章
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位を継いだのだ?」
その問いに、クリストフは静かに答えた。
「爵位を継いだ時、私は既に祖先のことを知っていた。故に、必ずこの国を我が手にすることを誓い、この爵位を継いだまで。それがどうしたと言うのだ?」
「ベッツェン公…。貴殿は人の上に立つに相応しくない。」
「その様なことはどうでも良いことですな…。して、私をどうするおつもりですかな?王とて私の爵位は奪えますまい。」
クリストフは鼻で笑い、目の前の若き王に言った。しかし、それに答えたのはミヒャエルではなく、後ろで控えていたアンドレアスであった。
「いいや。王権は爵位を剥奪出来ないが、爵位を強制的に次期当主へ移行することは許されている。」
そのアンドレアスの言葉を受け、リカルドら十二貴族次期当主達は、クリストフの周囲を取り囲む様に移動したのであった。この時、ミヒャエルは王になって初めて正式に王権を行使したのであった。
「クリストフ・フォン・アンハルト。今より汝の爵位を、息子リカルドへ移行する。汝に拒否権は無い。直ちに公爵印と剣を差し出せ。」
ミヒャエルの言葉に、目の前のクリストフは顔を真っ赤にして憤慨した。クリストフは、未だミヒャエルを王とは認めておらず、この様な命を下したミヒャエルを罵り続けた。それ故、アンドレアスはクリストフを国王を侮辱した罪により捕縛し、彼から公爵印と剣を奪ったのであった。
「何をするか!この無礼者めが!」
「父上!いい加減目を覚まして下さい!ミヒャエル様は既に、ヴェヒマル大聖堂からの承認も受けておられるのです。ここで父上が如何に足掻こうと、それが覆ることなどありません。言わせて頂きますが、父上が王になることなど、誰一人望んでなどおりません。我々貴族は飽くまでも王の補佐役であり、主たる王より前へ出る必要などありません。我々の働きは国の民だけでなく、原初の神もご存知なのですから、それ以上を望むことが何故に許されましょうや?」
「我が家系は…」
「幻想に価値は無く、過ぎ去りし日々は還りません。父上、今の我々はただの公僕に過ぎません。妄執に憑かれた貴方は、もはや人の上に立つ資格は無いのです。」
「息子の分際で、父である私に意見するとは!」
「あなたは私の父ではない。ただの妄執に憑かれた老人だ。私の父は王を立て、民のために剣となり盾となる方であった。あなたは違う。」
息子にそう言われたクリストフは、今までとは一変して覇気を無くし、それに答えることは無かった。クリストフは息子の冷やかな眼差しに貫かれ、まるで抜け殻の様になってしまったのである。リカルドは何も話さなくなった父に代わり、ミヒャエルへと頭を垂れて言った。
「王よ、どうか御許し下さい。我が系譜はこの父のために卑しき血筋と言われましょう。しかし、父の犯せし罪を償うために今一度、私に贖いの機会を与えて
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