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SNOW ROSE
花園の章
Z
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はない。次に姿を現したのは、トリスで知り合った二人がミヒャエルの前に立った。
「ルース!それにハッシュさんまで!」
「さん付けて呼んで下さいますな…身分を知っていたならば、あの様な…」
「いいんだ!あの時は大変世話になった。いつかは礼をと思っていたのだが、ここまで先になろうとはな。よく来てくれた。それにルース、君にも随分世話になったな。」
「勿体無い御言葉です。陛下、貴方様がこの国を治めてくれるというだけで、どの様な苦労も報われると言うものです。」
「それは違いない。」
 ハッシュとルースはそう言って後、ミヒャエルへと礼を取って後続の者へと場を明け渡した。
 次に姿を見せたのは、フォルスタの宿のケリッヒ夫妻と、歴史学者のディエゴであった。
「ディエゴより話を聞き、御祝いを述べに参らせて頂きました。戴冠の儀、誠におめでとう御座います。」
 三人はそう言って礼を取ると、直ぐ様顔を上げてミヒャエルへと言った。
「国王陛下。私共の宿は再建され、フォルスタの町は平穏を取り戻しております。いつかお越し下されるならば、何なりとお声掛け下さい。きっとディエゴもサボりに来てると思いますので。」
「そりゃひどい言われようじゃないか!」
「あらぁ…そうかしら?いつも入り浸ってますのに?アスパラは美味しいですのよ?」
「それは関係ないじゃないですかっ!」
 ミヒャエルは今、目の前で起こっていることが、まるで夢の様だと感じていた。出会えた人々が、こうして自分の祝儀に集まって来てくれている。こんなに幸せで良いのかと、ミヒャエルは目頭を熱くさせた。
 しかし、これで最後と言うわけではなかった。
「国王よ、何とめでたき日か!我等、心より御祝い申し上げますぞ!」
 そう言って微笑みながら姿を見せたのは、現法王リチャードと、ルツェンに留まっていた前法王ファッツェであった。
「お二方、よくぞお越し下さいました!」
 ミヒャエルがそう言って立ち上がろうとした瞬間、二人は直ぐに端へと道を開き、そこへ二人の人物を招いたのであった。ミヒャエルはその二人を見て、あまりの驚きに声も出なかった。
「国王陛下、お久しゅう御座います。この度の戴冠の儀、心より御祝い申し上げます。」
 それはアリシアの両親、そしてミヒャエルの恩人たるウォーレン夫妻であった。
「な…なんと!お二方には、こちらより礼を持って伺うべきなのに!」
 ミヒャエルは後に続ける言葉が見付からずに慌てふためいてしまった。この様子があまりにも幼く見えたため、ルーン公などは可笑しくなって笑ってしまったという。
 ミヒャエルは少しムッとしたが、暫くして心を落ち着けると、ウォーレン夫妻を玉座の前まで上げてこう言ったのであった。
「この場で申し上げるのも失礼とは思うのですが…。」
 ミヒャエルはそこで言葉を
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