花園の章
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紫陽騎士団」にそれを託した。その後、ミヒャエルは元老院を召集し、国の役職を全て変更し、新たな制度を作る決定を下したのであった。元老院もこれに賛同し、戴冠式後に原案を作ることに決まった。
そうして七日の後、それを受けた十二貴族当主らは、新たな時代へと移行すべく、皆当主の座を息子へと明け渡したのであった。それには幾つかの理由があるが、一番大きな要因は、現国王ミヒャエルを支えたのが息子達であったと言うことであろう。
さて、ミヒャエルは聖エフィーリアの告げた二十日の後、各地に散っていた前王の妃達と神聖騎士団、そして警備兵らを呼び戻し、皆の前にて国王の承認儀式である戴冠式を執り行った。前王は崩御しているため、王冠を被せるのはルーン公が代役をしてミヒャエルへと正式に王冠が譲られたのであった。
「ミヒャエルT世陛下。この度の戴冠の儀、おめでとう御座います。」
戴冠式後の祝賀で一番にミヒャエルの前に姿を見せたのはレヴィン夫妻であった。
「祝いの言葉、感謝する。しかし、ご夫妻はあの後、一体何処へ行かれていたのですか?」
ミヒャエルはそれとなく夫妻へ問うと、夫妻は顔を見合せて微笑み、一人の兵に外へ待たせてある人物を呼んで来るよう頼んだ。
ミヒャエルには何が何だか分からず、暫くそのまま待っていると、彼の前に多くの見知った人々が姿を現したのであった。ミヒャエルはそれに大いに驚かされ、そして大いに喜んだ。
「そんな…参ったなぁ…。」
始めに姿を見せたのは、シュアで待つことの出来なかったアリシアであった。
彼女はサミルよりシュアへ向かっていたが、崖崩れで道が途中で塞がれており、シュアへ入れたのはミヒャエルらが出立した二日後のことであった。
「国王陛下…いえ、ミック。とても会いたかったわ!」
アリシアはそう言うや、いきなりミヒャエルへと抱きついたのであった。周囲の者は皆、ミヒャエルの想いに気付いていたため、真っ赤になってあたふたしているミヒャエルを微笑ましく眺めていた。
「ア、アリシア…!こんな所で抱きつかなくても…!」
「ふふ。今位は良いでしょ?でも、まだまだ貴方を祝したい人は沢山いるんですものね。」
アリシアがそう言って笑いながら離れると、次にラタンを任せていたトビーと、途中で合流したワッツがそこへ控えていた。
「国王陛下。戴冠の儀、おめでとう御座います。ラタンの民も大層な喜びようで、陛下の宴にとワインを預かり持って参りました。後程お召し上がり下さい。」
「なんと二十八樽もあるそうですぞ。」
そう笑いながら付け足したのは、ミヒャエルの後ろへ控えていた叔父のルーン公であった。
「叔父上、知っていたのですか!?」
「さてのぅ…。何のことじゃか…。」
その滑稽な掛け合いに、集まりし人々より笑みが溢れた。だが、これで終わりで
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