花園の章
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し事柄を告げましょう。先代の王の妃らは、ブルーメにて神聖騎士団と共に民を助け、村や町の復興に力を注いでいます。城の警備兵らはヘルベルトの指示により、ルツェン、ノーイ、キシュ、ラッカス、ツェステ、ミューア、ドイの町や村へと散っています。それは自らの終わりを告げ、新たな王が国を治めるという布告なのです。故に、これより二十を数えて後、皆を汝の手の内に呼び戻し、王都にて戴冠の儀式を行わねばなりません。そして再び会う娘を妃とし、汝の成すべき路を歩みなさい。神は必ず汝と共にあり、汝の口に義を、汝の行いに勇気を、汝の心に平安をお与えになります。そして一つ。この先の艱難には、私の夫が必ずや力を貸してくれましょう。では…暫しの別れを…。」
そう言って微笑むと、聖エフィーリアの体から再び目映い光が溢れ出し、皆はまたその瞳を手で覆ったのであった。だが、ミヒャエルだけはあまりのことに、瞳を閉ざせずにいたのであった。
「兄上…。そして…」
ミヒャエルは目映い光の中に、多くの聖人と見知った者を見た。そこには未だ床に冷たく眠る兄ヘルベルトと、遺体の消え去っていた白薔薇騎士団のシオン・バイシャル。そして碧桜騎士団長ルドルフに、この事件で命を落とした者らが安らいだ表情でこちらを見ていたのであった。(ここで触れられてはいないが、原文にはマーガレットも書かれていたと思われる。)
これを見た者はミヒャエルだけではなかったようで、リーテ公子ハンスは、後世に残した手記の中でこう書き記している。
「そこには痛みも苦しみも哀しみもなく、穏やかで満たされた表情で皆は我らを見ていた。それはまるで神の園の様であり、乙女シュカの姿も見い出すことが出来た。それは至福そのものであった…。」
さて、その後にミヒャエルは次期当主らにヘルベルトの死を民に報せるよう命じ、自らは兄の骸を洗い浄め、その身を白き布で包んだ。
報せを聞いた民達は、直ぐ様教会へと詰め掛けて、ミヒャエルが浄めた亡骸を丁重に柩に入れたのであった。その翌朝には町の民全てが教会の周囲へと集まり、盛大な葬儀が執り行われたという。そこではレヴィン夫妻が葬送音楽を奏で、ミヒャエル自身が聖文書大典を朗読したと伝えられている。
「兄上…帰ろう…。」
葬儀が終わると、ミヒャエルは一輪の白薔薇を入れ、柩の蓋を閉めて後にこう呟いたのであった。
ヘルベルトの亡骸は王都へと運ばれた。この時、レヴィン夫妻とワッツは行くところがあると言って早朝に町を出立し、ミヒャエルらは昼前に町を出たのであった。
柩は兵によって交代しながら運ばれ、王都着くや再度葬儀を行って、やっと王族の眠る墓所へと葬られたのであった。こうしている間にも、ミヒャエルは戴冠式を行うために多忙を極めていた。
先ずは各地へ送る書簡をしたため、白薔薇騎士団とキナン率いる新たな「
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