花園の章
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り入れず、かなり質素な造りと言える。しかし小規模とは言え、やはり城は城であり、それなりの広さはある。故に、ミヒャエルらは無人と化した王城の廊下を幾つも曲がって階段を登り、暫くしてやっと目的の部屋へと辿り着いた。
そこは王の執務室であり、以前はミヒャエルの父である前国王が執務をこなしていた部屋であった。しかし、今はその前国王も崩御し、無人の筈であったが、ミヒャエルがその扉を開くと、そこへは意外な人物が彼らを待ち構えていたのであった。
「よくお戻りになられました。」
扉の向こうでそう言ったのは、初老の男であった。その人物を見て最初に声を発したのはリカルドであった。
「何故…何故に父上がこの部屋に居られるのですか!?」
青ざめた顔で叫ぶリカルドに、初老の男はニタリと笑った。そこへのんびりと王の椅子に腰掛けていたのは、幽閉されていた筈のベッツェン公クリストフ・フォン・アンハルトであった。
「いや、実に良い気分だ。我が家系の祖たるベルクは、元はモルヴェリ帝国第十一代皇帝マリアヌスW世の第二皇子であった。それがこともあろうに国を捨て、このプレトリウスへと流れ着いた。今では皇族ですらなく、ただの家臣と化してしまった…。祖先の悪口は言いたくはないが、全く無様なものだ。故に、私は家を皇族として復興することを悲願とし、ヘルベルト王子と手を組んだ。この国を我がものにするためにな。」
そのクリストフの言葉には、微塵の悪意も感じなかった。故に、ミヒャエルだけでなく、リカルドもアンドレアスも、そして十二貴族次期当主達全てに悪寒が走ったのであった。まともな話が出来る相手ではないと悟ったからである。彼…クリストフは、既に狂っているようにしか見えなかった。
「父上!あなたは何を言っているのか解っているのですか!?」
「解っておる。これは我が家系の当然の権利だ。」
「何と言うことを…!父上、今すぐミヒャエル様…いいえ、国王へ伏して全ての過ちを詫びて下さい!」
リカルドは必死に父を悟そうとしたが、クリストフはその息子の言葉を冷たくあしらった。
「小わっぱは黙っておれ。お前は私の言った通りにしておれば良いのだ。それに、誰が国王だと?何年も王城を離れ放蕩していたこの青二才が…笑わせる。私は承認などしておらぬわ。」
「ミヒャエル様への承認は、既に私が行いました。」
「何をぬかす!私の承認がなくば正式に国王と認められよう筈がない!」
クリストフとリカルドは互いにぶつかり合い、泥沼の言い争いと化していた。それを見てミヒャエルは、その無意味な争いを止めるべく大声で怒鳴ったのであった。
「二人とも止めよ!」
その一言で、二人は言い争うことを止めてミヒャエルを見た。部屋の中は静まり返り、ミヒャエルは一呼吸置いてクリストフへと問った。
「クリストフ。汝は何を思い爵
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