花園の章
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本来ならば二十四人なのであるが、シオン・バイシャルの死により、一人団員が欠落しているのである。シオンが歩むべき場所は空けられ、団員達はその死を悼んでいたと伝えられている。
さて、白薔薇騎士団の団長たるクラウディオ・ローレンツは、前日までヘルベルトの領地周辺を偵察してミヒャエルへと収集した情報を渡していた。ミヒャエルはそれに全て目を通したが、それはあまりにも噂とはかけ離れたものであった。
第一に、そこでは穀物や果実の品種改良をやっており、この国の気候に適して量が多く収穫出来るようにしているのだという。第二に、それに伴って区画整理をし、水路が公平に行き渡るようにしてあったと…。
さすがにミヒャエルはクラウディオを疑ったが、彼がそこまでしてヘルベルトを擁護する理由はない。寧ろ侯爵であった伯父を殺害されたため、ヘルベルトを討つことならあり得るのである。故に、ミヒャエルはクラウディオのこの調査書を公開しなかったのであった。混乱を避けるためである。
ミヒャエルは口を閉ざしたまま先頭を行き、一行はラタンを出て丸二日大した休みも取らずにルツェンと言う中程の街へと入った。
ルツェンは逸早くシュテルツ大公によって占領されていたが、数日前にそれは解かれていた。大公の死をベルディナータが知らせていたのである。
その時、このルツェンの街を管理していたのは、フォルスタで顔見知りとなっていた警備兵のヅィートレイ・キナンであったため、話は直ぐに纏まり、ヅィートレイは配備されていた全ての兵を引き連れ、十二貴族次期当主達が集まっているラタンへと移動したのであった。
無論、彼はシュテルツ大公の仇を取ろうなどとは考えてなく、逆に戦力に加えて欲しいと懇願するために動いたのであった。フォルスタでの出来事を見ていたからである。
ミヒャエルも彼のことは覚えており、今は列の中程を共に歩んで来ていた。彼らはミヒャエルに謁見した際、皆剣を立てて君主へ捧げる礼を取ったと伝えられている。
ルツェンに入った一行は、暫くこの街にて休むことにした。王都はあと一日足らずで行ける距離であり、ミヒャエル、アンドレアス、そして十二貴族次期当主達は話し合って決めたのであった。これ以上兵達の体力を消耗させては、それこそ本末転倒と言うものだからである。
この軍行には、実は最後尾に一般の民も交ざっていた。
彼らは物資を運ぶ者として志願し、その大半は自ら馬や驢馬を用意して駆け付けきてくれたのである。そこには女性も多く、四百人近い旅路に不自由なく進めたのは、この女性陣のお陰と言えた。大鍋や薪、食料など、全ての手配を彼女らは滞りなく行っていた。裏を返せば、行く先々で誰かしら親戚がいたため、少なくなったものを中心に集めてくれたのである。
しかし、ミヒャエルはその中に見知った顔があったことに
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