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SNOW ROSE
花園の章
Y
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は、ここへ居られるヴィントール氏が引き受けて下さるため、案ずるには及ばぬと思いますので。」
 そう発言したのは、ベッツェン公家次期当主リカルドであった。
 前に触れたが、彼の父クリストフは現在、都にある王城へ幽閉されている。だが、リカルドはそれに触れることは決してなかった。案じていない筈はないが、彼はそれを容易く見せないだけの忍耐強さを持っていたのである。ミヒャエルやアンドレアスは彼の心中を察し、今は前に進むことだけを考えることに専念しようと彼の意見に賛同したのであった。
 そうして後、皆は素早く準備に取り掛かり、元凶たるヘルベルトの待つ王都へと、再び歩み始めようとしていたのであった。
 暫くの後、負傷者を除いた全ての者は列を作り、直ぐにでも出発出来るよう整えられていた。
 だがそこへ、遠くより歩み来る一団が彼らから見えた。その一団の全てが、まるで巡礼でもしているかの様な白い衣を纏い、馬に多くの荷を乗せていたのであった。
 その一団を見るや、アンドレアスは直ぐ様駆け出したのであった。
「ファッツェ殿!」
 アンドレアスはそう叫ぶや、先頭を歩く白髪の老人へと駆け寄っていた。
 この一団は、前法王カール・フリードリヒ・ファッツェが、自らの弟子と信仰者達より募って作ったものであり、彼らは人々に禍が降りかからぬ様、また禍に襲われた際に多くを救える様にと、多くの物資を積んでミヒャエルらを追い掛けて来ていたのである。
「アンドレアス殿。我等も何かの役に立たねばと、こうして集いて参りました。しかし、この惨状は一体…。」
 ファッツェはルツェンの街の惨状に困惑していた。
 そんなファッツェに、アンドレアスはこれまでの経緯を掻い摘んで話すと、ファッツェは一つ頷いてこう言ったのであった。
「分かりました。我等はこのルツェンに留まり、怪我人の手当てと街の立て直しとに尽力致しましょう。貴殿等は早々に王都へと向かって下され。」
 ファッツェはそう告げるや、連れ立って来た人々に怪我人と街の状況を見てくる様にと言った。
「ファッツェ殿、有り難う御座います。」
「未だ礼には早う御座います。アンドレアス殿、皆様の先に居られるお方はミヒャエル王子ではありますまいか?」
「如何にも、あのお方がミヒャエル王子です。」
 ファッツェの言葉にアンドレアスが答えると、ファッツェはミヒャエルの元に歩み寄り、その場へ跪いて言った。
「偉大なる原初の神に高められし御方。時を統べる者と地を守護する者に認められし御方よ。我等尊き御神の命により汝を祝福し、汝の盾とならん。」
 ファッツェがミヒャエルへと告げし言葉は、事実上、大聖堂がミヒャエルを王と認めた宣言であった。それにより今、ミヒャエルは第三王位継承者としてではなく、正式に国王として認められたのである。
 既にベッツェ
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