花園の章
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は自らが刺し貫かれたことに驚愕したのであった。まさか自分の背後を取る者が居るなど、ルドルフは考えもしなかったのである。それも背後から瞬時に貫くなど、ルドルフにすら出来ないことであった。
「汝の罪は、自らの死をもって贖われる。神の下にて家族が待っている。もう苦しまずとも良いのだ…。リチェッリ公子レチェッロ・バラッキよ。」
「我が…真の名を…知っていよう…とは…。そうか…家族……が………。」
ルドルフは掠れた声で呟く様に言うと、静かにその命の光を消した。その死に顔は、今までにあった憎しみや哀しみなどはなく、優しく柔和な表情を見せていたという。
「さて、ミヒャエルを民へと戻さねばな…。」
リグレットはそう言うと、ミヒャエルの元へ歩み寄って彼の傷口に手を翳した。すると、ミヒャエルの傷は見る間に消え去り、虫の息だったミヒャエルは何事も無かった様に深く呼吸をし始めた。
そうしている間に、リグレットの傍らには一人の女性が姿を現していた。それはベルディナータであった。
「後は頼んだぞ。」
「分かってますわ。地に関わることは、全て私の下にあるものですから。後は原初の神の御心のままに…。」
「それでは、また神の御下で会おう。」
そう言うや、時の王リグレットはその場より姿を消し去ったのであった。それと同時に、遠くより駆けて来る者があったため、ベルディナータも直ぐ様その場より退いたのであった。
駆け付けて来たのは、ミヒャエルの手兵たる白薔薇騎士団所属の四人であった。何時までも連絡のないミヒャエルを案じ、手分けして探していたのである。四人はベルディナータが立ち去った後暫くして、気を失って倒れているミヒャエルと、既に息絶えているルドルフを見付けて駆け寄った。
「王子、確りして下さい!」」 ミヒャエルを抱えお越したのは、団長のクラウディオであった。その声に反応し、ミヒャエルは意識を取り戻した。
他の三人はルドルフの亡骸を調べていたが、その死に顔を見て驚いていた。
「しかし…何と安らかな死に顔だ…。」
三人は共にルドルフのことは知っている。故に、なぜこの男がこうも安らかに逝けたのか、三人は不思議に感じていた。
見れば背より剣で一突きであり、相当の痛みと苦しみがあった筈である。それにも関わらず、目の前の男の死に顔は、まるで幸福にでも包まれているかの様なのであるから、三人が首を捻るのは当たり前と言えよう。
さて、意識を取り戻したミヒャエルは何とか起き上がり、今の状況を把握することに努めた。自らの記憶は、ルドルフに剣で貫かれてから後が急に薄らぎ、暫くして暗転してしまっていたからである。
だが、そこで妙な違和感を感じ、ミヒャエルは自らの腹部に手を当てた。
「刺された傷が…無い…?」
ミヒャエルの呟きは、クラウディオを困惑させた。ミヒャエ
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