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SNOW ROSE
花園の章
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について広間へ行くと、そこには大公子息と友人のジーグ、そしてもう一人の人物が夫妻を迎えてくれたのであった。
「この様な時刻に呼び出して済まなかった。私がアンドレアス・シュルツ・フォン・プレトリウスだ。ジーグより夫妻は旧知の仲と聞いている。そしてそこへ居る者は、私の従弟にあたるトビー・アーテアス・フォン・プレトリウスだ。」
 アンドレアスがそう言うと、まずトビーがレヴィン夫妻へと口を開いた。
「再びお会い出来て光栄です。」
 夫妻は何と言って良いやら言葉に詰まった。この様な場でルーン公の子息に再開するとは、一体誰に予測出来ようものであろうか。
 しかし、そのトビーの言葉を聞いてアンドレアスは「何だ、面識があったのか。」と、少々がっかりした風に言ったので、トビーは苦笑混じりにアンドレアスへと答えたのであった。
「申し訳ありません。お話している間がありませんでしたので。」
「まぁいい。でだ、夫妻に来て頂いた理由は他でもない。ミヒャエル王子は今、何処へ居るんだ?」
 このアンドレアスの問い掛けに、夫妻は顔を強張らせた。ミヒャエルについて質問されるであろうことは気付いていたが、こうも単刀直入に切り出されては、レヴィン夫妻はどう返したものかと気が気ではなかった。
 今二人の目の前に座すアンドレアスは、いわばミヒャエルにとっては敵なのである。それを察してか、今まで黙していたジーグが夫妻へと話し掛けたのであった。
「ヨゼフ、そう警戒せんでも良い。アンドレアス様は我等の味方だ。今は表立って動くわけには行かないが、決して悪いようにはせんから。」
 ジーグの言葉を聞いて後、レヴィン夫妻は再びアンドレアスへと視線を戻した。アンドレアスは微笑したまま何も語らないが、どうやら真実のようだと二人は感じた。
 尤も、最初から敵対するつもりが無い証として、ルーン公の子息を同席させていたのであろうことは予測していたのであるが。
「アンドレアス様、私共は…」
「アディと呼んでくれ。私はあまり堅苦しいのは苦手でね。実を言えば、もっと早い時期に会いたかったんだが、私がここを動くわけには行かなかったからなぁ。それで、ミヒャエル王子は今何処へ?」
「大変申し上げにくいのですが、私共はツェステにてミヒャエル王子とは別れて行動しておりまして…。王子がどう行動し、現在何処へ居られるかは私共にも分からぬのです。一つだけ分かっていることは、王子はラタンへ向かわれると言ったことのみで…。」
「やはりラタンか…。よし、私は動くことは出来ないが、書簡を用意する。レヴィン夫妻には申し訳ないが、その書簡を十二貴族次期当主達へ届けてほしい。無論、ジーグとトビーも共に向かってもらうがな。」
 そう言われたレヴィン夫妻は首を捻った。何故ならば、わざわざ夫妻を呼び出して言い付けるようなことではなか
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