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SNOW ROSE
花園の章
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た。
「アリス。今日はこちらのご夫妻が見えられて、我が家へとお招きしたんだ。」
「まぁ、先日お話していたオーナー様の親友でらっしゃる?」
 アリスと呼ばれた女性はそう言うと立ち上がり、レヴィン夫妻へと顔を向けた。
「この様な格好で申し訳ありません。私はネヴィルの妻のアリスと申します。どうぞ気兼ねなさらずに、ゆっくりしていって下さい。」
 そう言うと軽く夫妻へと会釈をし、直ぐ様ネヴィルへと向き直ると、彼にこう言ったのであった。
「私は夕食の買い物に出てきますわ。お部屋は南の客間が今日風通しをしたばかりですから、そちらをお使い頂いて下さいね。」
「ああ、分かった。買い物は一人で大丈夫かい?」
「大丈夫ですわ。それでは、直ぐに行って参りますわね。」
 そう言うとアリスは、そのまま庭の外へと出ていってしまったのであった。アリスのあまりに早い行動に何の返答も出来なかった夫妻は、ただ苦笑いをする他なかった。
「あまりお気遣いなく。私共が急に押し掛けてきたのですから…」
「いえいえ。この街で旅人を持て成すことは、幸を呼ぶとされてるんですよ。遠慮は要りませんから。しかし、我が家には今八人の方が共に暮らしています。少々煩いかも知れませんが、そこは御容赦頂きたい。」
 それを聞き、ヨゼフとエディアは些か驚いた。最初は二〜三人程かと思っていたからである。
 しかし、長い旅の最中、煩いことなど大して気にもせずに過ごしてきた夫妻にとって、八人などさして気になる人数ではなかった。
「煩いのには慣れとりますし、野宿に比ぶればどうと言うこともありません。むしろ、少々煩い方が楽しくて良いではありませんか。」
 ヨゼフがそう答えると、エディアも「そうですわ。」と笑いながら相槌を打ったのであった。
 三人は暫く庭で花を眺めながら談笑していると、その庭先に人影を見付けた。夫妻はその人影を見るや、驚いて直ぐ様声を掛けたのであった。
「ワッツ!」
 その人影は、ジーグの馭者をしていた馬車屋のワッツであった。急に声を掛けられたワッツは目を丸くし、レヴィン夫妻を見るや直ぐに駆け寄ってきたのであった。
「レヴィン夫妻ではありませんか!まさかこの様な所でお会いするなんて…!」
「ワッツ君。君は御夫妻と面識があるのかい?」
「はい。オーナー様の馬車へ同乗されておりましたから。」
「そうだったのか。南の部屋は君の部屋の隣だから、紹介する必要は無いようだね。」
 そうネヴィルは言うと、今度はレヴィン夫妻へと振り向いて「ご案内がまだでしたね。」と、ばつが悪そうに言って荷物に手を掛けた。横にいたワッツも一緒に運ぼうと荷物を持ったので、夫妻は慌てて二人へ言ったのであった。
「荷物にまで気を遣って頂かなくとも…。」
「そうですわ。ワッツ君も今はお仕事ではないのですし…。」

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