花園の章
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起こっているということを理解したのであった。
「これは一体…。」
ヨゼフとエディアは畏れと共に、目の前の青年へと視線を向けた。
その青年等の顔を見た瞬間、ヨゼフとエディアは椅子から立ち上がり、青年の二人へと平伏そうとしたのであった。
「私達に伏してはいけません!原初の神へと平伏しなさい。」
その青年の言葉を聞き、ヨゼフは確信を持って彼らの名を呼んだ。
「聖ジョージ、聖ケイン。我が家系の上にあり、音と親愛を守護する者らよ!」
ヨゼフとエディアには直ぐに分かった。何故ならば、廃墟に描かれていた聖画の二人そのままであったからである。
人々はヨゼフの言葉を聞き、慌ててその場に膝をついてこの大いなる奇跡を神に感謝し頭を垂れた。だが、一人だけ神に祈ることを拒否した者がいたのである。それはシュテルツ大公であり、彼は二人の聖人を見てこう言ったのであった。
「紛い物のペテン師よ!何が神に平伏せだ。この世に神など居らぬは!一体何奴に雇われてこの様な茶番劇を演じておるのだ?お前達は王国に刃向かいし大罪人だ!逃げられると思うな!」
ふてぶてしく言い切った大公に、二人の聖人は憐れむような眼差しを送って言った。
「神を信じぬ者、愛無き者、世の禍を招く者よ。逃れられぬは汝の方だ。我ら聖エフィーリアの名にて遣わされた。それは我らが家系の者を祝福し、新たなる言葉を与えよとの命である。それを汚すなど、何人たりとも許されぬ。」
しかし、その言葉を聞いてもなお、シュテルツ大公は目の前の聖人を罵り、原初の神を冒涜し続けたのであった。
だが次の瞬間、大公は目を見開いて絶句し、何が自らに起こったさえも分からずに地へと倒れて絶命したのであった。
「父とは言え、原初の神と聖人達を冒涜するなど許されることではありません。父の罪、この私が全て負いましょう。故に、父にはどうか寛大な心持て安らかな眠りを与えて下さい。」
そう言ったのは、剣を持ったアンドレアスであった。彼はその剣で、延々と神と聖人達を罵り続けていた父を貫いたのである。
大聖典では、神を冒涜することは永久の命を剥奪されることとして戒められており、聖人達を罵る行為は死後の安らぎを剥奪されるものとして戒められているのである。無論、親殺しは大罪であり、永久の滅びが待っているとされているが、アンドレアスはそれよりも父の安らぎを願ったのであった。
その彼の言葉を受け、聖ジョージと聖ケインはアンドレアスへと言葉を返した。
「それは原初の神の御決めになること。」
「我らは執り成しの言葉しか与えられない。」
「故に、汝のこれからの行いにて、全ては決められる。」
「故に、汝は善き業持て父と自らの罪を洗い浄めよ。」
アンドレアスは二人の聖人の言葉に、天に向かって深々と頭を垂れたのであった。
その後
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