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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十一話 魔法
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れた。

 クロノ君を睨みつけ、進行を妨げる。

「……君たち、自分が何をしでかしてるか、分かっているのか?」

「分かってる。 って言っても、信じてもらえないと思う」

「ならなぜ?」

 クロノ君の問いに、ユーノ君は笑みで答えた。

「僕は、なのはの考えが正しいと思ったから」

「ユーノ君……」

 その言葉に、心が軽くなった気がする。

 私のしてることは子供のワガママで、大人の皆さんに迷惑をかけてるだけだと思ってた。

 それは迷惑だらけで、誰も理解してくれないんだって。

 でも、いたんだ。

 私のワガママを理解して、味方になってくれる人が、私にはいたんだ。

 ――――あの子も、この感情を理解して欲しい。

 強い願いを込めて、私は転送エリアに足を踏み入れて、ユーノ君の方を向いた。

「え……!?」

 すると、壁になっていたのはユーノ君だけじゃなくなっていた。

 雪鳴さんと柚那ちゃんも、ユーノ君の横に立ってケイジさんやリンディさんの行く手を阻んでいた。

「行って。 あなたの優しさがあれば、あの子を救える」

「雪鳴さん……」

「アタシたちもすぐに向かうから。 一人じゃないからね!」

「柚那ちゃん……」

 二人は優しい笑顔で、私を見送ってくれた。

 嬉しかった。

 胸いっぱいに、嬉しいって感情が溢れていく。

 気を抜いたら泣き出しちゃいそうな、そんな気分が私の心を満たしていく。

 転送エリアの効果によって景色が変わって、私は雲よりも上空に身を投げ出して、落下していく。

 雲の上って、曇天の地上と違って青空が広がってる。

 雲一つあるかないかで、こうして景色が変わる。

 私はそれを知って、凄く驚いた。

 どれだけ強い雨でも、どれだけ激しい雷でも、どれだけ強い嵐でも、――――雲を一つ突き破れば、世界はこんなにも綺麗なんだ。

 そんな感動を思い出しながら、私は首にぶら下げた赤くて丸い宝石――――レイジングハートを握って、天にかざした。

「風は空に」

 風が私を、優しく包み込む。

 全身を撫でる風は、私の高揚する身体を冷ましていく。

 そして身体は羽が生えたように軽くなる。

「星は天に」

 風の次に魔力が私の全身を包み込む。

 それは私の衣服をバリアジャケットへ変えていき、身体能力を強化させる。

 強化された目で空を見ると、青空なのに無数の星が見える。

 沢山ある星の中には、私と同じ沢山の人が生きて、暮らしている。

 ユーノ君も、雪鳴さんも、柚那ちゃんも、クロノ君やリンディさん、ケイジさん。

 ジュエルシードを奪い合ってるあの人たち。

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