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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十一話 魔法
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考が現実に出てる」

「お、お姉ちゃん!」

「どうしたの?」

 知らないふりをしてお姉ちゃんはアタシの表情を観察するように見る。

 ああ、きっと私は今、凄く顔を真っ赤にしている。

 こんなにも全身が暑いから間違いない。

「ア、アタシは別に、黒鐘先輩ばっかりじゃ……」

 必死に弁解しようと頭の中で言葉を選んでいくけど、動揺した心は竜巻が吹き荒れるがごとく荒れていて、まともな単語がでない。

 だから声もどこか自信のない感じに弱々しくなってしまって、

「でも今、黒鐘のことを考えてた」

 そしてそれがお姉ちゃんの悪戯心を刺激しているようで、その表情は小さな変化だけど、楽しんでいるのが見て分かる。

 姉妹ってそういうのがわかってしまうから、たまに厄介。

「そうやって先輩呼びするの、いつまで続けるつもり?」

「……」 

 だから今の言葉が悪戯ではなく、真剣な想いで聞いてることも分かってしまう。

 いっそ今の言葉も悪戯からのものなら、アタシは適当に言い訳出来たと思う。

 だけど、分かってしまったら嘘は付けない。

「答えが出せるようになるまで」

 だから本当に思っていることを言葉にする。

 アタシが黒鐘先輩に対して抱く感情。

 色んなものがあって、ハッキリしてるものや曖昧なものがある。

 それはきっと、あの人に会えなかった五年の時間が、アタシの中にある感情を複雑な形にしてしまったからで。

 今は失った五年を取り戻すような時間を過ごしていて、複雑になった感情を正しいものに直している最中だから、黒鐘先輩と呼んで少しだけ距離を取る。

 決してあの人のことを嫌ったり怒ったりしてるわけじゃなくて、アタシがアタシなりの答えを出すまでの間にそうしようとしているだけ。

 私がちゃんと胸を張って、あの人の隣に立つために必要なことだと思ったから。

「答えがちゃんと出ないうちにお兄ちゃんって呼び続けたら、それに甘えそうになるから」

 これはアタシなりの決意だから。

「……そう」

 答えを聞いたお姉ちゃんは私から視線を外し、夕焼けの空を見上げた。

「……桜、もうすぐ終わる」

「……」

 お姉ちゃんの言葉に反応して、私も空を見上げる。

 空はそよ風に乗った桜の花びらが舞っていて、夕焼け色と混じり合って複雑な色をしていた。

 風に流れる花びらを追っていると、道路を挟んだ先に立つ桜の木を見つける。

 そこはほとんどの桜が散っていて、青葉もチラホラと見受けられて、桜の時期の終わりが迫っているのを実感させられる。

 確か、お兄ちゃんと再会した頃はまだ、桜が満開の場所が沢山あった。

 桜が舞い散る景
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