プリズンブレイク
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「あなた…カイピリさんも、俺の知り合いとか…そういうのなんですよね?」
「あ…うぅ…」
カイピリ…と呼ばれた時、一瞬どきっとした。カイピリは俺の三つ名…転生名だ。名簿で俺の名を知っているだけだとは分かっているのに、まさか、もしかして、と期待してしまう自分が居た。
そもそも、こいつ俺との約束覚えてないのに、どうして看守に就職したのだろう。
ひょっとして、断片的にでも、俺との約束を覚えているのではないか…?
「…あんた、何で看守になろうとしたんだ」
「えー?…不況、かな?もうね、あっちこっちに履歴書出してさぁ、んー50通くらい出したんじゃないっすかね。でも2次面接までこぎつけたのが3件。受かったのはココだけですよ。…あ、でもね、近衛兵!あれ書類は通過したんっすよ、すごいでしょ!?」
「知るかっ!!」
そんな現在の世知辛い世相について聞きたかったわけじゃねぇよ!!
…というわけで看守になったのは偶然というか不況のせいだったらしい。…うわー、最後のほっそい希望の糸がぷちっと途切れたわー…。じゃあこいつもう、かつての同志とかじゃないじゃん。只の社会に出たての若造じゃん。
今日だけで50年くらい老け込んだ気がするわー…。
「えー、いうても書類の時点で倍率10倍ですよ近衛兵。人気の花形職業っすよ!?」
あー…もうどうでもいいやー…。
「―――割と最後まで実戦投入されないし制服カッコイイからな―――」
「でしょでしょ!?」
―――そこら辺は250年間変わってねぇのかよ!!!
「だが実戦になったら悲惨だぞ、いっつも式典しかやってないのに、初戦でいきなり切り込み隊長クラスの猛者だしな…」
「うっわ…もう実戦になったら終わりっすね」
「ああ。だから一番立派な鎧着た奴らが真っ先に逃げちまうんだよ。面白ぇだろ」
そしてあんたは前世、その切り込み隊長だったわけだが。
「そうらしいですねぇ…俺が産まれる少し前にもクーデターがあって、近衛兵はまぁ…半々だったらしいですねぇ」
「半々?」
「逃げたのと戦ったのと。戦って生き残った近衛兵は、次の政権でも召し抱えられたそうですよ」
「へぇ、次の」
―――次の政権!?
「ちょ、ちょ待てよ。政権、交代してたの??」
「んー、ここ最近はそんなに珍しくないみたいですよ、クーデター。ここ300年くらいで6〜7回。えっと、カイピリさんが投獄されたのは何年前くらいでしたっけ」
「258年前だよ!!…ていうかどうしてだ、俺達政治犯は政権が交代したら捕まってる意味なくない!?」
「はぁん…カイピリさん、政治犯だったんすか」
「え!?知らないで来たの!?」
「誰も知らないっすよ?…ほら、クーデターのゴタゴタで前政権からの資料とか結構散逸しちゃいますからねー。特にここ、特別棟
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