花園の章
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ブルーメの町を後にして二日目、ミヒャエル達はレクツィの村へと入っていた。レクツィは本街道と旧街道の分岐点にあり、ここから本街道を馬車で半日ほど行けば、中程の街であるエユースへと出る。
先にも語ったが、旧街道である山道を通れば、同じ半日程度でトリス旧市街へと出れるが、舗装されていない旧街道を通る者は殆んどいないのが現状である。
さて、ミヒャエル達は村へ入ると、直ぐ様この村にある診療所兼療養所へと向かったのであった。騎士ヘルマンと思われる男へと会いに行ったのである。
この村の医師アルベルト・ツェラーは、ユディとは数年前からの顔見知りであり、ユディからミヒャエルのことも聞いていたようであった。それはミヒャエル達が診療所へ入ったとき、直ぐ様彼らの前で礼を取ったことで自ずと解った。アルベルトはそのまま彼らに椅子を勧めると、自身は早速男の容体をを話始めたのであった。
「もうかなり良くなっております。一両日中にはここを出ても良いでしょう。」
「そうか。良かった…感謝します。」
「感謝などと…勿体無い御言葉です。あ…あと、その男性へ何回かお客人が見えられまして、つい先日も見えられてこれを貴方様にと…。」
「ヘルマンの客人が俺宛にか…?」
差し出されたものは、一通の書簡であった。上質の紙であり、裏には封印も施されていた。しかし、ミヒャエルはその封印を見て眉を潜めたのであった。
「この印は…。」
それはベッツェン公家の印であり、この時それを使用できる者は二人だけである。一人は現在王城で執政を取り仕切っているはずのベッツェン公家当主、クリストフ・フォン=アンハルトであり、もう一人はクリストフの長男で次期当主たるリカルドである。
しかし、双方共にミヒャエルへと書簡を送ってくるなど、ここにあって些か考え難いことなのである。当主クリストフは、現在王城にて軟禁されていると考えてまず間違いない。少なくとも、書簡を認めて外へ出すなど出来はしないだろう。かといって次期当主のリカルドは、他の十二貴族の次期当主らと共に、ラタンへと入っているはずである。
今この時点で、双方から書簡が届くはずはないとミヒャエルは思ったのである。それ以上に、ミヒャエルがこのレクツィへ来ることは、ユディとレヴィン夫妻、そしてツェラー医師しか知らなかったはずであり、それもいつになるかすら分からなかったのである。
ミヒャエルは一つ溜め息を吐き、静かに封印を折って封を開いた。そこからは、流暢な字で書かれた手紙が出てきたのであった。
「これは…クリストフの字だ…!」
それは軟禁されているとおぼしき国王代行からのものであった。そこに認められていた内容は、現在王城で何が起きているのかが書き記してあり、ミヒャエルはそれに目を通して憤慨せざるを得なかった。
「ヘルベルト兄上…。彼が
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