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SNOW ROSE
花園の章
W
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者のディエゴ・ソファリスが待っておりますので、詳しい話は彼がしてくれますので。」
「彼がなぜ!?」
 ミヒャエルは、聞き覚えのある名が出てきたために大変驚いた。まさか、ここでかの学者の名が出てくるとは、露ほども思っていなかったのである。
「ソファリス氏は十二貴族様方より、貴方様をラタンへと安全にお連れするよう命を受けております。」
「そう言うことか…。それで、君はこの後どうするのだ?」
「私はこのまま引き返し、出来うる限り追っ手の足留めを致します。ミヒャエル様とユディ様は、一先ず町にてヘルマン殿と合流して頂き、直ぐにこの町を発って下さい。ヘルマン殿と共に、道案内の者も居ります故に。」
 ベルディナータの言葉に、ミヒャエルは首を傾げて問い掛けた。
「まだ仲間が居るのか?」
「はい。貴方様の見知った者に御座いますれば、案ずるには及びません。では、私はこれにて失礼致したく存じます。原初の神の加護があらんことを…。」
 そう言ったベルディナータは、直ぐ様彼らの前から去って行ったのであった。
 その後、ミヒャエルはユディを伴ってここを立ち去る準備に取り掛かった。ツェラー医師にも全て伝えると、彼は二人へこう言ったのであった。
「こちらの心配は御無用です。全て手筈は整えておりますゆえ、どうか案ずることなくお発ち下さい。お二方に、白薔薇の恵みと原初の神の御加護があらんことを…。」
「ツェラーさん、感謝します。」
 そう言うと、ミヒャエルとユディはこの療養所を後にし、町へいるはずのヘルマンの元へと急いだのであった。
 二人が町へ着くと、そこは何事もなく、ただ田舎のゆったりとした時間が支配していた。何かが起こりそうな気配など微塵も無く、快晴の青空には鳥が遊び、そんな風景の中で人々は、ただ毎日の営みを繰り広げていた。
 町に入って直ぐ、ヘルマンが訪れたであろう馬車郵便屋へと向かったが、そこにヘルマンの姿は無かった。二人はどこを探せばよいらや、暫く考え込んでいると、ふいに一人の人物が彼等へと声を掛けてきたのであった。
「あんた方、ミヒャエルさんとユディさんですかの?」
 それは目深に帽子を被り、なんとも粗末な服を着た老人であった。ミヒャエルは訝しく思いつつも、「そうだが…何か用か?」と問うと、老人はこう返してきたのであった。
「いやぁ、お二方をお連れするよう頼まれましてなぁ。いやいや、見付かって良かったわい。」
 老人のこの言葉に、ユディは眉を潜めた。
「御老体、あなたは一体何者ですか?誰に我々を連れて来るよう言われたのでしょうか?」
「会えば分かると言うとりましたがのぅ。わしゃ今はこんななりをしとりますが、昔ゃこれでも学者なんぞやっとったで。」
 老人はそう言うなり、一人さっさと歩き始めてしまったのであった。腰の曲がった老体だと言うにも
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