花園の章
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ン、騎士の召集は任せた。」
「はい、心得ております。各地へ向けて直ぐに書簡を出して参ります。」
ヘルマンはそう言うや略式の礼を取り、そのまま部屋を出て行ったのであった。
「さて…俺達も動くか。レヴィン夫妻…貴殿方はこれからどうされますか?」
ミヒャエルは、今まで黙していたレヴィン夫妻へと問った。
「私共は直ぐに発ちます。親友がアケシュの村で待っております故、その親友と合流出来しだい、私共もラタンへ入ろうかと存じます。」
「そうですか。アケシュもラタンも、王都と隣接している街です。お気を付け下さい。」
「お心遣い、痛み入ります。それでは、私共はこれにて失礼致します。ミヒャエル様に原初の神の御加護があらんことを…。」
ヨゼフはそう言うとエディアと共に礼を取り、そのままミヒャエルの前から去ったのであった。
アケシュの街は、レクツィから歩いて五日程の場所にあり、ラタンよりも王都に近い。しかし、王都との境にはレーツェル山があり、通常はラタンを経由して王都へ入るのが一般的であった。
但し、レーツェル山には今は使われていない古道があり、これを使えば二日足らずで王都の西にある農民の居住区へ出ることが出来た。しかし、大変危険な道のため、現在では封鎖されている道である。無論、レヴィン夫妻は通常ルートを通ってラタンへ入ることは、言わずともミヒャエル等にも分かっていた。
その後、ミヒャエルとユディの二人は書簡を認め、それを送る手筈を整えていた。その最中、とある人物がミヒャエル等の元を訪ねて来たのであった。
ミヒャエルは部屋へ入ってきたその人物を見て、驚きのあまり名を叫んだのであった。
「ベルディナータッ!?」
ミヒャエルの前へ姿を現したのは、フォルスタの宿屋で働いていた料理人、ベルディナータであった。
「お久しゅうございます。」
驚いているミヒャエルを前に、ベルディナータは簡易的な礼を取ると、直ぐ様顔を上げて言った。
「早々に申し訳ありませんが、直ぐにこの村を出て下さい。追っ手が迫っております故に。」
「その前に、君はどうしてここが分かったんだ?」
「それが私の仕事でございますので。しかし、この村には中央へ内通している者が居り、今向かっている者は、その者より話を聞いたシュテルツ大公の手の者です。」
ベルディナータの話に、ミヒャエルとユディは顔を見合わせた。先にも語ったが、シュテルツ大公はミヒャエルの二人の叔父の一人であり、この国第二位の権力者である。その大公が動いているとなれば、もう時間の猶予がないことを意味していた。
「分かった。で、あとどれ程時間が稼げる?」
「私が足留めの罠を仕掛けてまいりましたので、一時程は保ちましょう。外へ馬を用意しております故、直ぐにキシュへと向かって下さい。そこにある聖アグニス教会に歴史学
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