ターン74 鉄砲水と冥界の札師
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られているとみていいだろう」
割といつも余裕のあるチャクチャルさんが面倒と称するということは、それだけ恐ろしい力を持っているのだろう。話し込んでいるうちにもどんどん思考のもやが消え頭がはっきりして、それと同時に藤原なんて聞いたこともないという確信が強まっていく。だが、当の本人は既に万丈目を連れて行ってしまったためここにはいない……そこまで考えたところで、ようやくはっと気が付いた。
「そうだ、万丈目が!」
まだ『藤原』を名乗るあれが何者なのか、何の目的があってアカデミアに潜り込んでいるのかはわからない。だけどチャクチャルさんが相手でなければ違和感すら抱かせないほどの大規模かつ精巧な精神操作の手際からいって、かなり強大な力を何か目的があって使おうとしているのは確かだろう。確かに万丈目は強いし、精霊を見る力もある。だけどそれだけでなんとかなるほど、甘い相手ではないだろう。
『マスター。その自分がやられたからってむやみに相手を持ち上げる悪い癖はやめような』
あ、ばれてた……じゃなくて、今はとにかく万丈目だ。あの怪しいカード回収を一緒に手伝ってるらしい明日香たちも心配ではあるけれど、今ぶっちぎりで危険なのは藤原と共に行動している万丈目のはず。
だが、結局コンピューター室に向かうことは叶わなかった。突然何の前触れもなく廊下中の電灯が消え、辺りが闇に包まれる。いやちょっと待った、いくら停電したからって今はまだ昼間。こんなに暗くなるなんてありえない……そう思った矢先、頭の中でチャクチャルさんの警告する声が短く聞こえた。
『来るぞ!』
何が、なんて聞き返す余裕はない。デュエルディスクを構えて背を壁に付け、どこからとも知れない強襲に出来る限り備えておくのが精一杯だった。そして再び何事もなかったかのように電気がついて、また周りに明るさが戻ってくる。ただし先ほどまでとは違い、そこにいたのは僕だけではなくなっていた。全くの突然に、まるでスイッチを押したら電気が付いたかのように唐突に、あの男が僕の前に立っていた。
「ミスターT……!」
「童実野町以来だな。君は真実にあまりにも近づきすぎた……いや、違うな。君の意思に関係なく、君の存在そのものがこの世界の真実そのものを破壊しにかかっている」
「は?何が言いたいのさ?」
僕の質問にも答える様子はなく、首を横に振ってまた話し始めるミスターT。なるほど、会話のキャッチボールをする気はまるきりないらしい。
「遊城十代。確かに、彼も脅威となる存在ではある。だが彼はあくまで、真実に近づきすぎたが故に危険な存在となったにすぎない。だが君は違う。存在するだけで刻一刻と真実は歪み、君の存在を受け入れるように世界は改変される。我々だけの話ではない、君の存在は世界にとって危険すぎるの
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