ターン74 鉄砲水と冥界の札師
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したうちの生徒だ。
でも、仮にも3年間なんのかんので顔を合わせてた相手なんだから、名前を思い出せなかったことは素直に謝っておかないと。
「ごめんごめん、咄嗟に出てこなくて」
「あはは。気にしないでいいですよ、影が薄いのは本当ですから。では万丈目君、次はコンピューター室に行ってシステムをチェックしよう」
「なんか手伝おっか?」
「なに、この程度この万丈目サンダーが1人がいれば十分だ。天上院君たちにも手伝ってもらってるし、そこまでの人数はいらないだろう。じゃあな」
「んじゃねー」
再びえっちらおっちらと、段ボール箱を抱えたまま歩き出す万丈目に藤原。確かに葵ちゃんの言ってた通り面白そうな話ではあったけど、カードの不具合なんて僕にどうにかできる範囲じゃない。回収作業ぐらいなら手伝えそうだけど、無理に手伝うのも万丈目に悪いだろう。また店に帰ろうと後ろを向いたその時、ぽつりと頭の中で声がした。
『……なあ、マスター。今の人間だが』
「え、藤原?どうかしたの、チャクチャルさん?」
『ふむ、なら先に謝っておこう。すまないマスター、せいっ』
その何ともやる気のない掛け声とともにチャクチャルさんが何をやったのかはわからないが、その瞬間全くの不意打ちで後頭部をガツンと殴られたような衝撃が脳の内側から走った。衝撃そのものはそこまで痛いというほどでもなかったが、全く警戒していなかったところに1発喰らったせいで前につんのめってしまった。なんとか転ぶようなこともなく体勢を立て直しはしたが、やはりあまりいい気はしない。
「何すんのさ、もう」
『もう1度聞こう。今の人間は?』
「だから、藤……あれ?」
藤原?誰だそれ?ついさっきまではわかっていたはずなのに、その内容が何ひとつ思い出せない。入学試験?いや、違う。七星門の鍵を校長から預かった時?いや、あの時も藤原なんて奴いなかった。光の結社の時、砂漠の異世界、そして覇王の世界……記憶のどこをひっくり返しても、あんな男見た覚えがない。
「え、あれ?でも確かにさっきまでは……あれ?」
『かかったふりかとも思ったが、やっぱりか。マスター、今度洗脳耐性の訓練しような。ギリギリまで正気を保たせたままで人心を操り、記憶を操作する。大したテクニックでもないが、いざかかると案外厄介だからな』
「洗脳?」
「ああ。恐らく、あの大量の闇の力を受けたカードが原因だろうな。マスターは外部からの影響を受けやすい体質だから、あの程度触れただけでも記憶改修にかかってしまったのだろう。あの藤原という人間、少なくともただの人間と思わない方がいい。何かはわからないが、あのカードも合わせてかなり面倒な力の残滓を感じる。あれだけの数のカードが媒体になっていたとすると、恐らくはこの島全土にあの人間の記憶が植えつけ
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