第47話<姉妹艦>(改)
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入ってきた。
「お腹すいたでしょう。とりあえず、作ったから……皆で食べて」
「おお、北上か」
気が利くな。
ただサンドイッチを見た私は一瞬「え?」っと思った。
今日の昼、食べたものとほぼ同じ……というか一緒じゃないか?
私は彼女に聞いた。
「あれ? もしかしてお昼に大淀さんの撤収部隊が持ってきたサンドイッチも?」
サイドイッチの大皿をデスクに置いた北上は言った。
「そうだよアタシ……まぁ、さすがにこれは鳳翔さんも手伝ったけど」
意外と言ったら失礼だけど。北上は料理というかサンドイッチも作るんだな。
私の疑問を察知したのか北上は、こっちを見上げて言った。
「なに? アタシが作ると、どっかおかしい? 変?」
「いや」
詰問してくる北上にタジタジになりながら私は心の中で範唱した。
(そうか、北上が作ったのか)
何か、この意外さにも感慨深いものがあった。
午前中のことを思い出した私は彼女に言った。
「さっきのサンドイッチだけどな」
「ん?」
持ってきた北上本人が早速イスに座ってサンドイッチを摘んでいる。
「あの深海棲艦が、おいしそうに……涙を流して食べてたぞ」
「えぇ?」
不意打ちを食らったように目を丸くしている北上。
でも、そばに立っていた日向も腕を組んで軽く頷いていた。
そして祥高さんも微笑んでいる。
(あれ?)
二人の反応を見た私は逆に意外な印象を受けた。
少なくともこの二人の艦娘は私が深海棲艦に対して取った行動を容認しているようだ。
特に……ついさっきまで私の判断に対して激しく抵抗を見せた日向が、これまた一体どういう風の吹き回しだろうか?
そんな私の思いは露知らずアゴに手をやる北上。
「へぇ、そうかぁ。あいつ食べたんだ」
彼女は何か遠くを回想するような目をして嬉しそうだ。
いつの間にか指令室は和やかな雰囲気になった。
「そういえば確か北上と大井も姉妹艦だよな」
「うん、そうだね」
急にそんな言葉が私の口から出た。もちろん、その深海棲艦が大井だとは
一言も言っていない。
ただ一連の状況を見ながら私は思った。
『あの深海棲艦は、やはり大井か艦娘の誰かなのだろうか?』と。
境港の神社で見たときのあいつの瞳も、どこかしら北上を連想させた。
妙に義理堅いのも、そういう背景があれば納得がいく。
艦娘の姉妹艦には理屈を越えて引き合う何かがあるのだろう。
だからこそ秘書艦や日向、そして北上は何かを感じた。
さらに敵である、あの深海棲艦自身も何かを感じて涙を流した……そんな可能性もあるだろう。
あれこれ葛藤して悩んだけど……結局は見逃して正解だったか。
もちろん
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