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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十九話 皇帝崩御
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きれば皇帝はその命を狙われることになるが、だからと言って皇帝は逃げる事は出来ん。だが外孫ならば話は別だ、場合によっては革命勢力に味方することも出来るし亡命と言う手も有る。生き延びるという点に関しては皇帝になるよりもはるかに有利なのだ……』
「つまり、ブラウンシュバイク、リッテンハイム両家は……」
『新帝を見放した、そういう事だ。いや、見放したのは帝国の未来かもしれんな』
「……」
帝国屈指の大貴族が帝国の未来に絶望している、となれば他の有力貴族も似たようなものなのだろうか……。イゼルローンでは分からないが、オーディンでは今回の一件は俺が考える以上に深刻に捉えられているのかもしれない
『リヒテンラーデ侯に対して新帝を担いで事態を収拾してみろ、そんな気持ちも有るのかもしれん。例の一件の首謀者はリヒテンラーデ侯だからな、責任を取らせるという事だろう』
その裏には自分達にその責任を押付けるなという気持ちが有るだろう。同時に例の一件はあくまでリヒテンラーデ侯の独断で自分達は関係ないと主張している。いざとなれば新帝とリヒテンラーデ侯を不満分子に売り渡して不満を解消させる。その後、自分の娘を担いで事態の収拾を図る……、そんなところか。
「ではリヒテンラーデ侯は国務尚書に留任ですか」
『例の一件はあくまでヴァレンシュタインの邪推であって真実ではない、それが帝国の公式見解だ。そうである以上、リヒテンラーデ侯が引退する理由は無い。侯が生き残るためには新帝陛下を担いでこの難局を乗り切るしかない』
新帝とリヒテンラーデ侯にとっては地獄だろう。ヴァレンシュタインの呪いの犠牲者、二人がそう呼ばれるのも遠い日ではないかもしれない。
『伝えておくことが有る』
「はっ」
『要塞駐留艦隊の司令官だがグライフス大将に決まった。一週間後にはオーディンを発つはずだ』
「はっ」
新たな駐留艦隊が此方に着くのは大体二月後か、俺がオーディンに戻るのは九月の中旬から下旬だな……。新司令官はグライフス、ヴァンフリートの会戦時の参謀長だった。この時期にイゼルローン要塞駐留艦隊司令官か、素直に喜べる人事ではないだろうな。
『ミューゼル、分かっているだろうが帝国を安定させるためには軍事的勝利が必要だ。少なくともリヒテンラーデ侯はそう考えている。これについては軍務尚書、統帥本部総長も同じ考えだ。帝国の安定だけでなく軍内部の統制を保つためにも勝利が必要だとな……。卿は配下の艦隊の練度を上げておけ。場合によってはオーディンに戻ることなく出撃という事も有る』
「しかし、それは」
この状況で反乱軍に戦争を仕掛ける? あまりにも危険が大きすぎるだろう。負ければ一気に帝国内には革命気運が強まるに違いない。しかしオフレッサーは最後まで俺に話させなかった。
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