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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十九話 皇帝崩御
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ン・ヨーゼフ、外孫エリザベート・フォン・ブラウンシュバイク公爵令嬢、同じく外孫サビーネ・フォン・リッテンハイム侯爵令嬢。
外孫二人がいずれも大貴族の娘であるのに対し、エルウィン・ヨーゼフは嫡孫とはいえ有力な後ろ盾は居ない。ましてエルウィン・ヨーゼフは未だ五歳にもなっていないはずだ。それに対し外孫二人は十歳は超えている。五歳に満たない幼帝が即位するには圧倒的に不利な状況と言って良い。だが現実には両者を抑えてエルウィン・ヨーゼフが皇帝として即位する。
リヒテンラーデ侯が両家を抑えたという事だろうか。己の権力を維持するために傀儡の皇帝を擁立した。彼にとっては皇帝は幼いほどやりやすいだろう。それほどまでに権力を維持したいのか、今は非常時、保身よりも大事なことが有るだろう。このままではヴァレンシュタインの思う壺だ、リヒテンラーデ侯はあの男の恐ろしさを理解していない。焼け付くような焦燥感が起きた。
「リヒテンラーデ侯がブラウンシュバイク、リッテンハイム両家を抑えたという事でしょうか? 本来なら両家の協力を得る事が必要なはずですが……」
俺の問いかけにスクリーンのオフレッサーは首を横に振って否定した。
『そうではない、リヒテンラーデ侯は両家の協力を求めたのだ。より露骨に言えば次の皇帝はエリザベート・フォン・ブラウンシュバイクに、そしてブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯に帝国宰相、副宰相になってもらいたいとな』
だが現実にはエルウィン・ヨーゼフが帝位についた……。リッテンハイム侯が納得しなかったという事だろうか。
「ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯は帝国宰相、副宰相に就任されるのでしょうか」
『残念だがそれもない』
どういう事だ、帝位も宰相の座も要らない? 何かがおかしい。スクリーンのオフレッサーは厳しい表情をしている。俺は何を見落としている?
俺の気持ちを読んだのだろうか、オフレッサーが微かに唇を曲げて問いかけてきた。
『両家が何を考えているのか、分からんか?』
「……分かりません」
『両家とも帝位を望むのは危険だと思っているのだ。革命が起きるのではないかと恐れている』
「まさか……、そこまで」
思わず声が震えた。ブラウンシュバイク、リッテンハイム、両家とも帝国屈指の実力者だ。その両家が革命が起きると恐れている。
『当家の娘は外孫、皇位は嫡孫であるエルウィン・ヨーゼフ殿下こそがお継ぎになるべき……。ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯が言った言葉だ。正論ではあるがこれまで事あるごとに帝位を巡って争ってきた両家が言う台詞ではないな』
皮肉交じりのオフレッサーの言葉に俺は頷いた。両家が次期皇帝の座を狙っていたことは子供でも知っている事だった。つまり建前であって本音ではない。
『革命が起
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