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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十九話 皇帝崩御
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駐留艦隊ですが、そちらも私が再編してよろしいかな」
「そうだな、そうしてもらおうか。再編が終わるまではミューゼル中将をイゼルローンに置く事にしたい。どうかな、オフレッサー元帥」
「異存有りません」
今はイゼルローン要塞に残留させた方が良いだろう。こちらに戻すのは例の一件の対処をどうするか、はっきり決めてからで良い。下手に戻すと新たな火種になりかねん。唯一心配なのはあの艦隊が反乱を起こす事だが、まああの連中なら心配はいらんだろう。しばらくは向こうで訓練に専念させることだ。
「それにしてもこれから先、帝国はどうなるのか……」
呟く様な軍務尚書の声だった。まったく同感だ、これから先帝国はどうなるのか、想像もつかない……。
帝国暦 486年 5月25日 10:00 イゼルローン回廊 ミューゼル艦隊旗艦 タンホイザー ラインハルト・フォン・ミューゼル
「それで、次の皇帝陛下はどなたに」
『エルウィン・ヨーゼフ殿下が即位される、エルウィン・ヨーゼフ二世陛下としてな』
「それは……」
予想外の言葉に思わず絶句した。目の前のスクリーンにはオフレッサーが映っている。オフレッサーも難しい表情をしていた。彼にとっても予想外の結果だったのだろう。
皇帝フリードリヒ四世は今月の十四日、帝国軍大敗の報を受けショックで倒れた。一説には例のカストロプの一件の報告を受け倒れたとも言われているが真相は分からない。だがほとんどの人間はそれを信じている、いや信じたがっている。
一度は持ち直したがその三日後、十七日の朝にはベッドで冷たくなっているフリードリヒ四世が発見された。死因は心不全、幸いだったのは皇帝が姉の所で死んだのではないことだ。もしそうなったら何処かの馬鹿貴族が姉が殺したと騒ぎ立てただろう。
自然死ではある、だが多くの者がそれを信じていない。ヴァレンシュタインに呪い殺されたのだと信じている。“悪夢の中でのたうつと良い” 笑いながら放たれたヴァレンシュタインの言葉だ。
フリードリヒ四世はベッドの中で悪夢にのたうちまわりながら死んだ。“ヴァレンシュタインの呪いの最初の犠牲者”、それが兵士達がフリードリヒ四世に付けた異称だ。そして次の犠牲者は誰かと噂をしている。
“ヴァレンシュタインの呪い”、現実に帝国はその呪いの所為で混乱している。誰もが帝国の統治者に不信を抱き、反乱軍との戦争に疑問を抱いているのだ。そして政治体制そのものに疑問を抱き始めている。一つ間違えば革命が起きるだろう。イゼルローン要塞でも、そして俺の艦隊でも不穏とは言えないまでも微妙な空気が漂っている。非常に危険だと言える。
フリードリヒ四世は後継者を定めていなかった、その事が混乱に拍車をかけている。候補者は三人、皇太孫エルウィ
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