第46話<Hey、提督ゥ>
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軽く会釈をした。彼女の前髪が、ちょっと垂れ下がる……この娘も敬礼よりは、お辞儀の方が似合うタイプだ。
「失礼します」
そう言いながら立ち去る華奢にも見える彼女の後姿を見ながら思う。
(神通さんは鳳祥さんみたいに奥ゆかしい感じか)
艦娘ってのは個性的だ。活発な子、大人しい子。各人各様だ。それをバランスを取って配置していくことで部隊としての調和が取れていく。
鎮守府とは、それで良いのだろう。
黙ってジッと待っていた日向を私は振り返る。
「待たせたね、行こうか」
「はい」
日向と一緒に階段を上がって作戦指令室に入る。
「うは」
思わず声が出た。窓が開け放してあるが室内はムッとして暑い。
中のデスクにメモや書類をまとめている祥高さんがいた。やや疲れ気味の彼女は
私たちを見ると、ふらふらと立ち上がって敬礼をしかけた。
私は制した。
「いいよ、そのまま……大淀艦隊はどうなった?」
改めて腰をかけた祥高さんはメモを見ながら応える。
「14:15頃には戦闘が終結。轟沈は、ありません。大淀艦隊は大破6、中破4、小破2です。速力が低下していますので、まだ帰還していません」
「ご苦労だった」
半日とはいえ鎮守府周辺の、すべての応戦指揮を一手に担ったんだ。大変だったな。
彼女も足元がふらついているようだ。
しかし墓参なら今日が良いと計画を立てたのは秘書艦だ。悪く言えば身から出た錆とも言える。
でも私が着任する前に美保で、ここまで大規模な敵襲は無かったはずだ。
今回は深海棲艦側にも意外に情報収集能力があることを知り得たな。
ただ気になるのは秘書艦だ。実は今回の墓参も何か作為的な……意図的に計画されたものを感じるのだ。気のせいかな?
悶々としている私に彼女は聞く。
「どうかされましたか?」
「いや」
別に今、私は妄想してたわけではないので後ろめたくはない。
(いろいろな疑念について今、まだ聞くべきではないか)
私は誤魔化すように聞く。
「お昼ご飯、まだだろ?」
「はい。でも、もう少し報告がございます」
彼女は続けた。
「今回は敵機動部隊2隻の空母のうち1隻を撃沈。残りは逃走しました」
私は少し驚いた。
「良く追い返したな」
意外に頑張ったじゃないか? 大淀艦隊。
「それが……」
そのとき指令室の無線機が割れんばかりの声を出した。
「Hey! 提督ゥ!」
比叡より軽い声が聞こえた。
「なんだ? これは」
この発音は……本物のハーフか?
まさか夕立2世なのか? いきなり筋肉痛が酷くなった心地がした。
「提督、聞えますかぁ? ワタシ金剛ね! よろしくデース!
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