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SNOW ROSE
花園の章
V
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いのですが、巷で何が起きているのか話して頂けますか?」
「はい。先ず我らがレクツィへと入りました時、王都にて封鎖が始まったとの話を聞きました。十二貴族の召集無しに封鎖されたため、十二貴族の次期当主たちが理由の公開を求めるべく集まっているようです。今はラタンの街へ留まって居るとのことですが、どうやら王都へ入れないようだと…。故に、今や王家の内情は誰も知らぬとのことでございます。」
 淡々と語るヨゼフの言葉に、ミヒャエルはとうとう始まったのだと確信した。
 だが、一つ気掛かりなことがあった。執政を仕切っていたベッツェン公のことである。
 ベッツェンは王家と縁の深い土地であり、アンハルト家も由緒ある大貴族であった。故に、他の貴族より強大な力を持ち、常に貴族同士の争いを仲裁する役目を負っていた。
「ヨゼフさん。ベッツェン公の話は耳にしていませんか?」
 ミヒャエルはヨゼフへと問ってみたが、ヨゼフは「残念ながら…。」と済まなさそうに答えたのであった。
 さすがに王都内のことは分からないと思っていたミヒャエルに、黙していたユディが口を開いた。
「ミック…。ベッツェン公クリストフ・フォン=アンハルト殿だが、どうやら幽閉されているようだ。無論だが、王も妃も皆、幽閉されていると考えて間違いないだろう。」
「それじゃ、命に問題はないと?」
「いや、あの第二王子のことだ。いつ処刑に持ち込むか分からん。今や王都を封鎖出来るだけの権力を得ているのだから、それに従わぬ者も居るまい。」
 ユディの言葉に、ミヒャエルは眉間に皺を寄せて深い溜め息を吐いた。
 確かに、王都を封鎖するなどということは、相当権力が強くなくては出来ようもない。それどころか、国王以外でそのような命を下せるなぞ、本来あってはならぬことである。ミヒャエルはとある考えに至り、それを振り払おうとしたが、それが頭から離れることはなかった。
「ユディ…。もしや、ベッツェン公はヘルベルト兄上の側に…。」
「有り得る。もしそうであれば、これだけの強権を発動させられるかも知れない。だが…代々王家へ仕えてきたベッツェン公家が、ここで現王を蔑ろにするなど、少々考えにくいとも言えるがな。」
「そうだ…。だが、現に兄上は着実に動いている。これを止めなくば、この国は崩壊するかも知れないのだ…。」
 ミヒャエルがそこまで言うと、黙していたヨゼフが口を開いた。
「ミヒャエル王子。私はある方から、この剣をお渡しする様にと言付かり参ったのです。この剣はこの先、この件のお役に立つとのことで、貴方様の手にある方が相応しいと…。」
「剣…だと?」
 ヨゼフはエディアへ剣を持ってくるよう合図を送ると、エディアは直ぐ様上等な布に包まれた剣をミヒャエルの前へと差し出したのであった。ミヒャエルはそれを受け取って布を取ってみると、
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