花園の章
V
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かったのであるが…。
少し眠っていたようで、ミヒャエルは扉を叩く音で目を覚ました。
「眠ってましたか?これ私が作ったスープですが、食べられるようなら少しでも召し上がって下さい。食べなきゃ体力が回復しませんからね。」
扉から現れたのはアリシアであり、ミヒャエルのために食事を運んできてくれたのであった。ミヒャエルはアリシアの手を借りて何とか上半身を枕を背にして起こすと、未だ痛みの残る手でスープを受け取った。
アリシアは食べさせようとしていたようだが、さすがにそこまでは厄介になれない。正直な話、ミヒャエルは恥ずかしくて半ば拒絶したのである。その仕草が面白かったのか、アリシアは少々笑いを溢していた。
何とかスープの皿を受け取ったミヒャエルは、それを一口啜って言った。
「美味い…!」
それは野菜を蕩けるまで煮込んだスープであり、どうやら滋養に良い何種かの薬草も入れてあるようであった。ミヒャエルの反応にアリシアは、うっすらと頬を赤らめて、どこか嬉しそうにミヒャエルを見ていたのであった。
それから一時間程後、医師のユディがウォーレン家を訪れた。
「やっと目を覚ましたか。」
そう言って部屋に入って来た人物を一目見て、ミヒャエルは言葉を失ってしまっていた。
「やれやれ、どこかで頭でも打ったかねぇ。ここのご家族には、随分良くしてもらっていたかと思ったが、話せないんじゃなぁ。」
「ユディ・アルサル!」
ミヒャエルはやっとのことで、目の前で笑っている男の名を呼んだ。
そこに居たのは、ミヒャエルの親友であるユディであった。まさかとは思っていたが、本当に本人がくるとは考えてもいなかったミヒャエルは、その驚きを隠すことなど出来はしなかった。ユディはそれが面白いらしく、暫くの間笑い続けていたのであった。
「いやぁ…はぁ…。君の驚きようときたら…やはり面白い!」
「そうじゃなく!なんでお前がこんなとこで街医者なんかやってんだ!?」
「まぁ、話せば長くなるんで…面倒だから省略。」
「略すどころか、まだ何も言ってない!」
「今話すことじゃないからなぁ。取り敢えず、先ずは診察するから。一応飲み薬も用意しといたから、必ず飲むようにな。外傷はもう大したことないようだし、骨も後二三日位でどうにかなるだろう。痛みは和らぐが、まだ二週間は安静にしてないとだめだからな。」
ユディは診察しながらミヒャエルへと的確に語った。それは正に医者の姿であり、ミヒャエルは親友の夢が叶っている姿に、一時の喜びを見い出していたのであった。
「だが…診てくれたのがお前で良かったよ。」
「こっちはウォーレンさんが怪我人担ぎ込んだって呼ばれた時、まさか君だとは思いもしなかったからな。それが目の前には国の第三王子…」
「ユディ、それは…」
「大丈夫だ。マルコ氏とア
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