プロローグ 始まりの咆哮
始まりの咆哮U
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。そうして互い仲は険悪になり常に国境には重厚な警備が敷かれるようになりました。カタヤ要撃騎士、あなたは『竜と少女』という童話を知っていますか?」
「それならば子供の頃に読んだ記憶があります。確か少女がある日竜に出会い、それからの彼らの半生を綴る内容だったかと」
「そうです。現在アルディギアに出回っているそれの終わりは『少女と竜は仲睦まじくいつまでも暮らしました。』という謳い文句で締められています。これには続きがあるのです。実際は物語の終わりから数年後、少女と竜は結婚するのです」
「・・・??」
もう驚くなと言われても無理だろう。開いた口が塞がらず、声も出ない。異種族間での結婚などここ数十年でやっと聞き始めた言葉である。それをずっと昔にしていたなど、どれだけ最先端を行くのだ、そもそも竜が街中に入ればすぐさま騎士か兵士が飛んできて居座ることもままならないだろう、とユスティナは頭の片隅で考えていた。放心状態のユスティナを見てラ・フォリアが微笑みながら続けた。
「ほんの一部に限られていますが、竜はその姿を変えることができるのです。それも自分が望んだ姿に。少女と結婚した竜はその力を持っていました。そのおかげで人間の街に入ってもバレなかったのです。ですがある時、秘密を知った者からの密告が王宮に届き、すぐに竜と少女は連行されました。普通ならば処刑されるところですが竜にはある交渉の材料がありました」
「材料・・・?」
「その竜の一族は鍛治術師だったのです。その技術と自分が竜であることを武器に彼は王に向かってこう言いました。『彼女を開放すれば、ここで腕を振るおう。だが彼女に何かあれば自分は本来の姿に戻って王宮を焼き払う』、と。王は反竜体制に積極的ではなかったのでその提案を受け入れました。それと同時に彼の打った剣を使用し、反竜派の政治家を捕らえて処罰しました。同時に王は彼に竜と人間の橋渡し役になってくれないかと頼みました。そこからの両者の関係は良好なものになっていきました。以前のような信頼は無くなりましたが、それでも最悪の時期よりはいくらかマシになりましたね。話が逸れましたね。それから数年後、彼と少女は子供を出産します。人と竜との間に生まれた子は暫定的に竜人と呼ばれました。鍛治術師の一族の者であった彼はその子に竜のしきたりに従って自分の冶金技術を伝えました。この時、王宮ではある計画が進められていました。竜たちを人工的に繁殖させようという計画です。と言っても人間側は住処や食料を与えるだけなんですけどね。その甲斐あってか、今では全盛期の半分ほどの数に増えました」
「しかし姫様、それほどの数の竜たちをどこに住まわせているのですか?領地内のどこかなら誰かに発見されるのも時間の問題ですし、ましてや領地
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ