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フロンティアを駆け抜けて
フロンティアを駆け抜けて
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 届かない。攻撃を受ける直前、メタグロスの体はラティアスから剥離し、貫いた影の爪はラティアスを掠っただけだった。戦闘不能を免れたラティアスが霧の弾を放ち、ジュペッタを包み込む。

「まずい、脱出しろジュペッタ!」
「させないわ! これで……勝負の勝ちも私達がもらう! 『ミスティック・リウム』!!」
「ひゅうううう、あん!!」

 メガシンカしたラティアスの霧は圧縮して水球となり、ジュペッタの体を包み込んで溺れさせる。影の中へ逃れようとも、完全に水の中に閉じ込められてしまっては身動きが取れない。仲間たちのタイプを『ミラータイプ』でコピーし虹色になった水球が弾け──中にいるジュペッタが、ただのぬいぐるみになったように力を失って倒れた。観客も実況も消えたフィールドに、電光掲示板の決着を告げる音だけが響いた。


「……今まで、よく頑張ったな。ジェム」


 王者であり父が負けた後最初に言ったのは、悔しさでも王者としての体裁を繕うものでもなく、ただ自分の娘を本心から褒めたたえるものだった。ジェムはラティアスを抱きしめ、ダイバに倒れたメタグロスの入ったボールを返しながら頷く。

「うん、お父様……今まで、私の憧れでいてくれてありがとう! 大好きだったわ! お父様の理想は認められないけど……お父様とお母様の娘として生まれてきて、このフロンティアにきてみんなと出会えて……私、本当に良かった!」

 アルカとドラコにもラフレシアとリザードンを返して、この場にいる戦った相手全員の顔を見た後、やっぱり我慢できなくてジェムは泣いた。泣いていたけど、しっかり自分の気持ちを口にして、周りに礼を言う。

「ああ……そうだな。お前はもう、自分の信じた相手と歩いていける」
「うん……だからお父様! お母様! ジャックさん、ゴコウさんにネフィリムさんにエメラルドさん!!」

 勝負が終わった後どうするかは、もうすでにダイバたちと決めた通り。そして、戦った直後とはいえ長居するつもりはなかった。今行かなければ、甘えてしまう気がするから。


「さようなら……私は、友達と旅に行くから!!」


 ドラコがリザードンとフライゴン以外の四体の竜を出す。アルカとドラコはそのまますぐに竜に乗った。ダイバもネフィリムの抱擁から離れた後、エメラルドに背中を叩かれ竜の背に乗る。ジェムも竜の背に向かおうとしたとき、母親のルビーがゆっくり歩いてくる。

「お母様……」
「ジェム……おめでとう。ジェムは私と違って……自分の力で誰かの支配から抜けられる強い子だよ」

 優しいけど、少し自嘲気味な声だった。ジェムが体験したルビーの過去もそうだし、ジェムが苦しんでいるのに直接手を貸せなかったことを悔やんでいるのはジェ
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