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フロンティアを駆け抜けて
フロンティアを駆け抜けて
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て告げた。

「安心してよチャンピオン、今の騒ぎはお客さん達の中でダークライが『悪夢』として処理してくれてる。まあ何で意識を失っちゃったのかみたいな疑問に応えたり埋め合わせのバトルを用意する必要はあるだろうけど……とりあえず君の築き上げたものが全部壊れたわけじゃない」
「何故……」

 ジャックはサファイアの計画に対する計画に対する協力者だった。ジェムの危険をぎりぎりで救う位置としての役割を全うしてくれていた。その彼が、何より自分の理想を誰より楽しみにしてくれていたはずだったのにどうしてと。

「君のポケモンバトルは大好きだよ。その為の手段にも僕がどうこう言えたことじゃないし肯定してる。それでも……愛弟子の頼みだからね。僕みたいな老人のために、子供を縛り付けることは、昔の君が許せないことだったはずだろう?」
「……それは」
「お母様は、昔お爺様とお婆様にやりたくないことを無理やりやらされて苦しい思いをした……それをお父様が救ったんだもんね」

 ジェムも小さく笑う。そこに偽りはないしサファイアのルビーに対する愛情が消えているわけではないことは知っているから、その心は消えていないはずだと信じている。

「……助かりました。ジャックさんがいなければ私の理想は消滅していた。計画のためにフロンティアを貸してくれたエメラルドにも顔向けが出来ない所でした」

 サファイアはそこから話を逸らすようにジャックに礼を言う。ジェムをダークライで支配しようとした以上肯定することは出来ないのだろう。ジャックはそれにそんなことか、と言わんばかりに応える。

「もう、今気にすることはそこじゃないでしょ? 大体なんで僕の『ダークホール』が普通に観客に効いたと思ってるのさ」

 観客たちを守るバリアーは消えている。でなければ如何に本物のダークライといえども『ダークホール』で観客たちを眠らせることは出来ない。そしてバリアーの設定を消せる人物は、フロンティアオーナーであるエメラルドしかいない。

「ダイバ君がね。エメラルドさんに『僕達の計画を伝えて、この事によって出来る損失を補てんするプランを考えて提出して……最後には子供らしく我儘を言ったら頷いてくれた』んだって」

 エメラルドは自分たちに害をなす相手を容赦なく潰す人間だとジェムは聞いている。そんな彼に観客をパニック状態にさせるなどと知られれば今日この日が来る前にジェムを叩きのめしに来る可能性もあった。それでもこの計画にはエメラルドの権限が必要だったから、ダイバを信じて提案を通してもらったのだ。
 ジャックはジェムの心に打たれ、エメラルドも自分の息子の我儘も効いてこの計画の黙認及び収拾のための手を事前に打った。ルビーが客席にいないという言葉の通りなら、ルビーがジェム
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