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フロンティアを駆け抜けて
フロンティアを駆け抜けて
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 ジェムがバトルフロンティアの真実を知ってから一週間後。ここはフロンティアの施設の中で一番大きなドーム。整えた茶髪に黒いタキシードのような礼装に身を包んだ男性がバトルフィールドの端に立つのをジェムはモニターで見据えていた。サファイアの計画通り、ジェムたちの戦いに魅せられた人々がジェムとサファイアの親子対決を心待ちにしている。ジェムは仲間たちと共に今日のために特別に設置されたステージの控室で待機していた。

「いよいよ……ね」
「……緊張してますか」
「当然よ。本当にお父様と戦うんだもん」
「そうだな。だが悪い緊張ではない。全てはお前に託した。力の限り戦え。お前はもう勝ち負けに囚われる必要などない」
「……ええ、アルカさんのお茶も効いてるし、大丈夫よ」

 アルカとドラコがジェムの傍で声をかける。アルカの調合した緊張をほぐすお茶を事前に飲んでいることもあって、ジェムの表情は張りがあるが気負ってはいない。

「……私がジェムにこんな形でお茶を作ることになるなんて、わからないものですね」
「ふふっ、最初は体が痺れる毒だったからね。あの時は本当にびっくりしたわ」
「さて……最後に確認するが、体に不調はないな?視界は平気か?」
「うん、ドラコさんありがとう」

 ジェムは鏡で自分の姿を確認する。皺ひとつない青のパーカーとアルカとおそろいの花柄のミニスカート。丁寧にそろえた茶髪には母親に貰った雫の髪飾りだ。


「────さあ!!いよいよこの厳しいバトルフロンティアの施設をすべて制覇したチャンピオンの娘、ジェム・クオールの入場です!!彼女は若干十三歳。反抗期を迎え父親に親子喧嘩を正々堂々挑んだとのこと!!それをチャンピオンとして、父親として絶対王者はどう迎え撃つのか、目が離せません!!」


 これがジェムの入場の合図だ。ジェムは立ち上がり、ドアに手をかける。これを開ければすぐにバトルフィールド、サファイアの目の前だ。

「ダイバ君……私、ダイバ君の分まで戦うから見ててね」

 ずっと黙っていた少年、ダイバはそのドアの前に立っている。サファイアの企みがなければ、今こうしてサファイアに挑んでいるのはダイバだっただろう。それでなくとも思うところはあってか、この控室に入ってからは一言も口を開いていなかった。ジェムの言葉に、ようやく彼が口を開く。

「君がチャンピオンと戦うことに今更文句なんてない。ただこれだけは覚えていて。僕は君ならチャンピオンに勝てると思って納得したんじゃない。……君の戦いの結果ならどんな形だって納得できる、これからも生きていけるって思ったからここにいるんだ」
「うん……ありがとう。すっごく元気が出たわ」

 ダイバはあれからエメラルドやネ
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