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フロンティアを駆け抜けて
友の奇跡、ジェムの決意
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「ダイバ君……私、勝手なこと言っちゃった?」

 ダイバがジェムに近づき囁く。ジェムはちらりと振り向いてダイバの表情を見た。表情はなんだか呆れているように見える。

「いや……僕に関しては間違ってないよ。それに……君は、そうあればいいと思う」
「そっか、ありがとう」

 それはダイバのついた優しい嘘なのかもしれないけど。嘘なら嘘で構わない。ジェムに対しての想いがあるのは間違いないから。ドラコもアルカもダイバも、ここでの出会いを通して自分と一緒にいてくれる。だからジェムは、父とフロンティアに囚われず自分の道を進む決意が出来る。

「とにかく……例え私達の出会いがお父様の掌の上だったとしても、まだわかりあえていないとしても……私はここにいるみんなと一緒にいたいしお父様のしたことを認めない! だから……覚悟してもらうからね、お父様!!」
「そうか……それがお前の選択なのだな、ジェム」
「うん、みんなに言われたけど私はお父様みたいに立派なことが出来る人じゃないみたい……我がままで、傲慢で、利己的で狡猾なんだって」
「それを否定する権利はこの出会いを仕組んだ私にはない……か。ならば覚悟しておこう、お前達との戦いを。一週間後、バトルフロンティアの中央で待つ」

 サファイアの姿がジュペッタと共に影の中に消え去る。それをどこに行ったか確かめることもなく、今の自分の仲間へと振り向いて三人を一気に抱きしめた。三人は、拒絶せず腕を回り切れない小さな体を受け止める。

「ごめんなさいみんな……後一週間、お父様に、ホウエンチャンピオンに勝つために力を貸してちょうだい!!」

 三人がそれぞれ噛み合わない返事をする。だけどこれでいいのだ。残す戦いはあと一つ。ジェムと父であるサファイアの決戦のみ――
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