友の奇跡、ジェムの決意
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が主人公になるように調整するということは、すなわちジェムを危険に晒しながらも安全に徹底して気を配るということだ。仮にサファイアが何の計画もなくジェムをバトルフロンティアに連れてきていれば、世間や悪意を知らないジェムは誰かにかどわかされていたかもしれない。
「だから私には、お父様のやったことを否定する権利なんてない。私がそうしたいってずっと憧れてたことなんだもん。だから私は……お父様とポケモンバトルで勝負する。約束するわ」
それがドラコの反逆を無にする行為だとしても。父親のやったことは、誰よりも自分が求めていたことだからそれを放棄してはいけない。ジェムの誰よりも強い使命感がそうはさせない。
「……わかった。ならば一週間後を待っている。……さすが、ジェムは私とルビーの娘だ。ジャックさんの弟子だ」
サファイアが演技ではなく本当に感極まったように呟いた。自分の意志を、理想をジェムが理解してくれたからだろう。真相を知られた時点で、ジェムが自分を許さず戦わない可能性も真剣に考えていたからこそ彼は娘に選択を迫ったのだから。
「だけど私は、お父様を許さない。私よりずっと頑張って戦ってきたダイバ君の気持ちを利用して、アルカさんを悪者に仕立て上げて、ドラコさんに私達を騙させたこと……今の私は、もうお父様とお母様とジャックさんの為だけに戦えない。今の私にはあなたが認めなくても大切にしたい人達がいる、父様が私のためにダイバ君たちを傷つけたことを正当化するなら……私はお父様の理想に協力するために戦うんじゃない、私の友達のために、あなたと戦うわ!!楽しい勝負なんてしない、私の気持ちを全部ぶつける親子喧嘩にするから!!」
「……!!」
その場にいる全員がジェムの言葉に呆気にとられた。あれだけ父を慕っていたジェムが怒りをあらわにして喧嘩をすると宣言した。サファイアでさえ、敢えて黙っているのではなく本当に言葉が見つからないようだった。
「クククククク……ハハハハハハッ!! チャンピオン、この言葉も貴様の想像していたか!? こいつは貴様の操る運命の意図も、私の竜が導く方向も無視して戦うつもりらしい! 別に騙していたことへの罪悪感などそうないが……そういうことにしてやろう!」
膝をつき、息を荒げたままドラコが笑った。正直ジェムが父親の理想を受け入れたものだと思っていたがゆえに、本当に痛快だった。
「わたしが悪者だなんてはっきり言っていつもの事ですが……まあ、あなたなりに私の気持ちを汲んで怒ってくれたことは認めますよ」
アルカがジェムに歩み寄り、苦笑した。アルカが許せないと思ったところはまた別にあるのだが、それも追々わかりあっていければいいだろう。自然にそう思うことが出来た。
「……ジェム
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