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フロンティアを駆け抜けて
友の奇跡、ジェムの決意
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とも倒れ、サファイアの勝ちが決定する。

「私の策を看破したのは見事だが、ポケモンの強さを見誤ったな。Z技の一発で倒されるほど私のジュペッタは弱くはない。……君の負けだ。役目を終えた君には舞台を降りてもらおう」
「そこまでのまっとうな強さがありながら……何故他人の、娘の努力を嘲笑う真似が出来るのか私には理解できん」
「……全ては見ている皆の笑顔の為だ。メガジュペッタ」

 全力を出し切り、満身創痍で息を荒げるドラコにメガジュペッタが『影打ち』を撃とうとする。それは演出上の見せしめであり、ドラコにまた邪魔されては面倒だからだろう。受ければジェムとサファイアが戦うまでの間はまともに動けなくなる程度の怪我を負わせるつもりであろうことは誰の目にも明らかであり。


「お父様の気持ちは十分わかったわ。だからやめて」


 ジェムが、アルカの元から起き上がりジュペッタとドラコの間に割り込んで大きく手を広げて庇った。影を出しかけたジュペッタが慌てて止める。ジェムの声は真実を知った時の絶望や失意はない。感情を感じさせないここに来るまでのジェムではありえなかった冷えた声。だが慌てることもなく彼は自分の娘に問う。

「なら答えを聞こう。ジェムはこれからどうする。真相を知った以上私と戦うのはやめるか? それとも……私の娘として一週間後の決戦を受けてくれるか?」
「ジェム……」

 ドラコ、そしてダイバとアルカがジェムを見る。このフロンティアでの日々はチャンピオンの娘という大きな使命感を背負う小さな少女を中心に回っていた。それを知り、彼女は口を開く。


「お父様が全部仕組んだって聞いたのはショックだった……でもわかったの。それを望んだいたのはお父様、お客さん……そして誰よりも、私自身だったんだって。私は皆に認められるすごいトレーナーになりたかった。お父様みたいにみんなを楽しませるトレーナーになりたかった。お父様はお仕事、みんなに楽しんでもらうためって言ってたけど……それは私の為で、ジャックさんの為で、お母様の為でもあったんだって」
「……」

 ジェムがこのバトルフロンティアに来た元々の理由はそれだ。誰よりも父親の傍にいる立場で、だからこそ近づきたいと願っていた。それを母親が支えてくれて、ジャックが戦い方を教えてくれた。

「ジャックさんは楽しい勝負が大好きだし、お母様は私が危ない目にあって取り返しのつかないことになったらどうしようってすごく心配してた。危ない目には合ったけど……お父様やジャックさんが裏で仕組んでなかったら、私は本当に死んじゃったかもしれないってことだよね。そしたらお母様すっごく悲しんだと思うわ」
「……ああ、そうだろうな」

 サファイアは眼を閉じた。ピンチを演出しつつもジェム
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