暁 〜小説投稿サイト〜
フロンティアを駆け抜けて
友の奇跡、ジェムの決意
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隠れる。チャンピオンが無策で同じことをするとはドラコも思わない。だがどんな策を取ろうがフライゴンの目は見逃さないという確信があった。事実フライゴンの紅い複眼はジュペッタの隠れる先を見抜き――その影が向かう先は地面でも建物でも柱でもなく。


 フライゴンやボーマンダよりもはるか高い宙。蒼天に白い影が映り、その中にメガジュペッタが存在しているのが誰の目にもはっきりとわかった。

「な……!?」
「『影送り』または『影法師』と呼ばれる現象だよ。影とはどこにでも誰にでもある……そういうものだ。メガジュペッタ、ボーマンダを狙え」

 どれだけ素早く地面を割ろうとも、空を奈落の底に落とすことなど出来ない。咆哮の為に息継ぎする瞬間をつき、白い影から飛び出たメガジュペッタが漆黒の爪でボーマンダの体を無尽に切り裂く。メガボーマンダが咆哮ではなく悲鳴を上げ、意識を失い地面に落ちていく。

「メガボーマンダさえ倒してしまえば、もはやフライゴンには『地割れ』を使うことさえ出来ない。私の勝ちだ」
「いいや、勝つのは私達だチャンピオン!」

 宙にいるボーマンダを切り裂くためにメガジュペッタの体も当然宙に浮いている。雲が出来るほどの空からも地面からもそれなりに離れた位置にいる。今この瞬間だけは、小細工なしの一撃を当てられる。この時の為にずっと隠していた奥の手がフライゴンには存在する。

「フライゴン! 『アルティメットフライドラゴンバーン』!!」
「ふりゃあああああああああああああ!!」

フライゴンの口からエネルギーの塊が放たれ、四つの竜の形を取って地面から宙から回避の隙間なくメガジュペッタに叩きこまれる。竜のZ技をその身に受け、メガジュペッタの体が破れ悲鳴を上げる。エネルギーが消え、人形の体がフライゴンの正面に落ちた。

「勝った……!」
「……見事だ。君はトレーナーとして私との駆け引きに勝った」

 サファイアがわずかに無念そうに言う。ドラコの方が上だと。それは勝負の決着を意味していた。

「だが、ポケモンバトルの勝敗は別だよ」

 起き上がったメガジュペッタが、影の爪で紅い複眼を切り裂いた。フライゴンが激痛に苦しみ、視界を奪われる。眼を壊され、逃げることすらできず虫のように這いずるフライゴンにジュペッタは止めを刺そうとする。

「フライゴン……!」
「お父様やめて! もう勝負はついたわ!」
「――『虚栄巨影』」

 ジェムの制止を聞かずメガジュペッタが『ナイトヘッド』による自分の巨大な影を作り、伴って肥大化した影の爪でフライゴンの体全体を切り裂いた。フライゴンはそれでも動こうとして足を進めるが――それが逆に自分の発生させた地割れに落ちてしまい姿を消した。ドラコのポケモンは四体
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