友の奇跡、ジェムの決意
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
んだ。ドラコはチャンピオンの戦術の肝が幽かな気配による誘導だと勘づいていた。だからこそメガシンカした二体での『ハイパーボイス』で影に隠れなければ逃げられない攻撃を連発してチャンピオンを逆に誘導した。どんなフェイントも、フィールド全体を襲う音相手には効果がないから」
「影は宙には浮かばず地面に張り付くように出来るもの……本来飛べば簡単に避けられる『地割れ』も影の中にいては逆に逃れようがなくなってしまう……ということですか」
「これが……ドラコさんの本気」
ドラコはダイバの方を見て笑う。それを汲んで、ダイバもため息一つついた後ジェムのために言葉を続ける。
「確かにドラコの戦術はすごい。けど、これでジェムや僕たちと戦った時も本気だったって言うのもはっきりした」
「えっ?」
「フライゴンがガブリアスには使えない『地割れ』を扱えるのは僕も知ってる。でもフライゴンが『地割れ』を使えるようになるのは物凄く手間がかかるんだ。その割に欠点も多くて扱いづらい。ドラコもわざわざメガシンカの特性を二つ利用してまで『地割れ』の命中に繋げてる。……つまり、ドラコのこの戦略はあくまで対チャンピオン専用でジェムや僕たちに対して手を抜いてたわけじゃないんだよ」
「そう……なのね」
今のダイバの説明で全てを納得できたわけではないだろう。後で平手打ちの一発くらいは覚悟しておくか、と思いながらドラコはサファイアに視線を戻す。
「貴様の残りは一体……さあ、私の竜達の力で引導を渡してやろう。そしてジェム達をこのグランギニョルから開放してもらうぞチャンピオン!」
ほんの数十秒での大逆転。サファイアがボールを一つ掴みそれを見つめる。それは追い詰められたことの焦りか。計画に反旗を翻されたことへの憤りか。あるいは。
「ふ……想定以上の結果だ。礼を言おう」
「貴様、まだ言うか」
「誤解しないでほしい。これは私の計画とは関係ない個人的なものだよ。久しぶりに、緊張感のあるポケモンバトルだ」
サファイアは、幽かに笑っている。大人の余裕と、目の前のピンチに心を高ぶらせる少年の心が混ざった不思議な表情だった。チャンピオンとして圧倒的な強さと誰にも気づかれないフェイクを操る彼には骨のある対戦相手など久しぶりなのかもしれない。モンスターボールから出すのは、チャンピオンが絶対の信頼を置く相棒。ダイバやアルカ、ジェムがこのフロンティアで見たポケモンだ。
「現れろ、全てを切り裂く戦慄のヒトガタ――メガジュペッタ!」
「特性は脅威だがその前に決める! やれボーマンダ!!」
「ボアアアアアアアアア!!」
「メガジュペッタ、『ゴーストダイブ』だ」
「どこへ逃げても無駄だ!!フライゴン!」
メガジュペッタが影に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ