ありがとう
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シアン。それがどういうことなのか、彼女にはすぐにわかった。
「いいの。それがグランのやるべきことなんだから」
涙を溢す青年の頬を拭いながら、彼を慰める女性はどこかスッキリした表情をしている。
「私の気持ち・・・もっと早く伝えてたら、違う未来になっていたのかな?」
以前彼女が彼に伝えたその気持ちは、ウソなど微塵もない。本当に彼のことを愛していて、そして一緒になりたいと思っていた。
「それでも俺が悪いやつなのは変わらないぜ」
「そんなことないよ。グランはとっても優しい人なんだから」
それから互いに何を言えばいいのかわからず、ただ沈黙の時間が流れていく。どのくらいの時間が経っただろうか、青年はゆっくりと立ち上がると、起き上がることのできない彼女をお姫様抱っこする。
「あれ?何コレ役得?」
冗談めかしたような口ぶりで青年の顔を見上げるイザベリー。それに対しグラシアンは小さく口角を上げる。
「もうこんなことできないかもしれないから、いい思い出にしろよ」
「フフッ、そうさせてもらおうかな」
それからグラシアンはゆっくりとした足取りで、他の魔導士たちが集まっているはずの場所へと歩を進めていた。その間二人の間にやり取りは一切なかったが、二人ともスッキリとした笑顔を浮かべていたのが、非常に印象的だった。
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