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FAIRY TAIL〜水の滅竜魔導士〜
ありがとう
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。立ち止まることなく前進すると、右の手のひらを握り締め、魔力を込める。

「鉄拳!!」
「!!」

自身の攻撃が先に命中したことから、先ほどまでのように攻めに入れると考えていたイザベリーは、予想外の出来事に反応できず、かつての仲間の重い一撃を受けてしまう。

「やっと本気になったね!!グラン!!」

大きなダメージを受けたはずなのに、彼女は笑みを溢し目の前の青年に手を向ける。

シュッ

その手元からわずかに聞き取れるかどうかと言うほどの小さな音。それは彼女の手から魔法が放たれたこと物語っていた。

ヒュンッ

「!!」

だが、その一撃は彼を捉えることが出来なかった。すぐ目と鼻の先にいたはずの相手は、まるで予期していたかのように体をずらし、あっさりと攻撃を回避して見せた。

「ハアッ!!」
「がっ!!」

驚愕の表情を浮かべていたイザベリーは再度放たれた敵の拳に瞬く間に飲まれる。そのまま、グラシアンはがむしゃらに彼女を攻めていく。

「クソッ!!」

ただひたすらに拳を振るっているグラシアンと、なす統べなく打ち込まれるイザベリー。しかし、彼女はその中で、一つの違和感を覚えた。

(泣いてる?)

自身の攻撃している青年が、ポロポロと涙を溢しながら彼女を攻め立てているのだ。その表情は、悲しみと悔しさに苛まれていた。

「アアアアアッ!!」

まるで迷いを振り切るかのように、ただひたすらに声を上げながら、自分の思考も追い付かないほどに拳を繰り出すグラシアン。

(やっぱり・・・グランは優しいね)

脳裏を過るのは彼との楽しかった思い出の数々。さらには今までに死んでしまった仲間たちの顔だった。

(ハル・・・ユウ・・・ヒナ・・・グランはみんなが思ってたような人じゃないよ・・・)

目から小さな雫が溢れてくる。痛みからではなく、彼を裏切り者として恨んでいた仲間たちに、本当のことを伝えられなかったことが、悲しくての涙だった。

(ヒナに会えたら言おうかな?あ、でももう会えないのかも)

きっと自分は彼の手によって捉えられ、また不自由な身になるのだとわかっていた。しかし、また辛い日々に逆戻りのはずなのに、彼女は嬉しそうな笑みを浮かべる。

「ありがとう、グラン」

そう呟いた瞬間、休まることなく振るわれ続けた彼の攻撃が止まった。
それにより彼女は、力なく地面へと倒れ、攻め続けた青年も、力を使い果たしたのか、彼女に被さるように倒れる。

「重いよ、グラン」
「ごめん・・・」

イザベリーは覆い被さっている青年にそう言い、彼はなんとか体を持ち上げるが、そこから動くことができない。

「ごめん・・・ホントごめん・・・」

何度も何度も謝罪を繰り返すグラ
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