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SNOW ROSE
花園の章
U
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決を見るや、そそくさと店の掃除に行ったが、どことなく楽しげな風に店を磨いていたのであった。

 その日の午後、この街を出発すべく、ジーグは馬車に荷物を積み込んでいた。無論、レヴィン夫妻の荷物も一緒に積み込んでいたのだが、その中に一つ奇妙なものが混じっていた。昨日再会した時にも気になっていたのであるが、懐かしさが先に立ってしまい聞きそびれたのである。
「ヨゼフ…。そりゃ、剣じゃねぇのか?」
「そうだ。フォルスタの宿の主人からの預かりものでな。とある人に渡してくれと頼まれたんだ。」
「旅楽士にかぁ…?」
 不思議に思うのも無理はあるまい。
 確かに、旅楽士も護身用の武器は携帯しているが、それでもせいぜい短剣くらいで、ここにある目立つような大剣を持つことはない。それ以上に、この様な大型武器は重量があり、旅の荷物にしたくないのが本音と言えよう。
「ジーグ、あまり気にするな。俺もこれについては詳しく知らされておらんから、聞かれても答えようもないのだ。」
「まぁいい。旅の道すがら、その経緯でも聞かせてもらうさ。」
 困った様子のヨゼフにジーグは笑って言うと、その大剣を他の荷物と共に崩れぬよう固定したのであった。
「さて、出発だ。コンラート、店を頼んだぞ?」
「任せとけよ。父さん、そしてレヴィンさん達も、道中お気を付けて。」
 コンラートがそう言って馬車から離れると、馭者のワッツが馬へと合図した。馬車はゆっくりと動き出し、後ろで手を振るコンラートの姿を少しずつ小さくしていったのであった。

 さて、目指す王都へは、馬車でも四日程かかる。道にもよるが、大抵は本道を通らなくては馬車は進めず、彼らもその本道を進むことになっていた。
 現在とは違い、馬車と言えど容易く旅を出来るわけではなく、大半は舗装されていない自然道が普通であり、かなり馬車が揺れるのである。
 勿論、旅なれた彼らが乗り物酔いすることはないのだが、かなり腰へと負担が掛かることは否めなかった。
「いや…参った。ここら辺で休もうや。」
 ツェステを後にして二日程経過しており、彼らは今、休憩がてら小さな村へと立ち寄ったのであった。
 その村はカザと呼ばれ、主要通路上にあるためそこそこの賑わいを見せていた。
 宿泊は中程の町に立ち寄ってはいたものの、休憩で村や町へ立ち寄ることは無かった。先を急いでいたためである。
 しかし、さすがにジーグも馬車で腰が痛くなり、座って食事の摂れる村へと入るようにワッツに言ったのであった。
「四人分頼む。」
 ジーグは早速近くにあった店へと入り、直ぐ様店員へと注文した。そこにはレヴィン夫妻の他に、雇われ馭者のワッツも同行していた。
 普通、馭者は主人と共に食卓を囲むことはない。ワッツにしてもそれは当たり前だったのであるが、ジーグはそれを由とは
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