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フロンティアを駆け抜けて
死線幽導
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「さて……次は君に頼もうか。ヨノワール」
「オオオオ……」

 ジェムの傍にいるダイバとアルカ、バトルタワーで行く末を見ているブレーン達、そしていずれこの戦いを見ることになる無数の観客達のためにサファイアは次のポケモンを出す。二つの拳を構える巨漢のような姿をしたゴーストタイプのポケモンがシャンデラと共に並び立つ。

(ふん……やはりそいつが出てくるか)

 ドラコもチャンピオンを倒すべき王者として目標にし続けた人間の一人であり、サファイアのポケモンがどういう個性を持つのかは知っている。なので次の一手は予測できた。

「ヨノワール、『シャドーパンチ』」
「カイリュー、ボーマンダを守れ!」

 ヨノワールが拳を前に突き出すと同時に消える。だが見えないだけで拳は直線状に飛ぶことも知っている。向こうの狙いは『破壊光線』の反動で動けないボーマンダだ。カイリューが間に割って入り攻撃を受け止める――と同時、カイリューの体が凍り付き、巨体が地面に落ちていく。ヨノワールが拳が当たる瞬間に『冷凍パンチ』に切り替えたのだ。

「だがよもやその程度で倒せると思うなよ!『地震』だカイリュー!」

 カイリューが落下する勢いを利用して地面を揺らし、その衝撃で自身を覆う氷を砕く。『冷凍パンチ』を受けた瞬間から飛ぶのやめ『羽休め』で体力を温存しながら落下し『地震』に繋げサファイアのポケモン二体を攻撃する。特にドラコの操るカイリューの特性は『マルチスケイル』により体力がみなぎる限り受けるダメージを半減し、『羽休め』により生半可なダメージではカイリューの体力を削ぐことはできない。

「追撃しろボーマンダ、『ハイパーボイス』!!」
「ボアアアアアアアアアア!!」

 空気を切り裂くほどの力を得たボーマンダの『ハイパーボイス』はジェム達との戦いでも見せた通りノーマルタイプを超越し飛行タイプとしての性質を持つ。『地震』のような物理攻撃は見切れても本来無効であるはずの音の攻撃までは防げず、ヨノワールとシャンデラが大きく仰け反った。応戦して相手の二体が氷と炎の同時攻撃を放つが、全てカイリューが受け止め『マルチスケイル』が攻撃を殺しきる。そしてボーマンダが天空から『ハイパーボイス』を放つ。ヨノワールとシャンデラも反撃することでしのいではいるが、音による攻撃は通常の回避ができない。『影分身』や『身代わり』を操り攻撃を回避することに長けたチャンピオンのポケモンには天敵といえる相性だった。ここまでの戦いはドラコが圧倒している。

「すごい……こんなに強かったのですか、ドラコは……」

 アマノの策に嵌まり単調な攻撃を繰り返していたドラコとはまるで別人のような動きだった。いや、あのときはわざと捕まるためにそんな挙動をしていただけだったの
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