死線幽導
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サファイアの指示によりヨノワールとシャンデラが自らの影の中に潜み攻撃をやり過ごす。影の中にいる限りはどんな強力な攻撃も受け付けない、サファイアのポケモン特有の鉄壁の守りである。『影分身』を始めとした十重二十重の回避を潜り抜けてもチャンピオンにはこの技がありよほど不意を突かなければ手痛いダメージを与えることはできない。だがドラコは笑った。
「ふん……そんなに負けるのが怖いかチャンピオン」
「何……?」
「『影分身』に『身代わり』、果ては『守る』や『ゴーストダイブ』で影の中に隠れて攻撃から逃れる。軽やかで優雅に躱すといえば聞こえはいいが派手な演出を暴かれてしまえばお前の戦いは臆病なものでしかない」
「挑発のつもりかな」
「さあな、だが私はそれを破るためにここへ来た、それだけの話だ。続けろ二体とも!!」
「ボアアアアアアアアア!!」
「ピュウウウウウウウウ!!」
二体の竜が互いを上回ろうとするがごとくさらに強い咆哮を放つ。だがサファイアのポケモンは影に潜んで出てこずダメージはない。やはりチャンピオンは安い挑発になど乗らない。だがいつまでも影に隠れ続けることもしないとドラコは読んでいた。あまり長い膠着状態は観客を飽きさせる。それは観客を楽しませることを生業とするチャンピオンがとても嫌うことだからだ。
(恐らく次の一手はシャンデラで何かしら仕掛けた後本命のヨノワールの『冷凍パンチ』……だがチルタリスの『コットンガード』で受け止められる。そしてその隙をボーマンダが切り裂く。他の手だとしても今度は見切ってやる)
ドラコはチルタリスにアイコンタクトを送り、あえて一旦咆哮のための息継ぎをさせる。チルタリスの動きを見逃さず咆哮が途切れる直前にサファイアが口を開いた。
「『妖しい光』」
「『神秘の守り』!」
シャンデラが影から抜け出て頭の炎をチカチカと点滅させる。それはドラコの視界をも遮ったが読めていたことだ。間髪入れずに指示を出しチルタリスが神秘のベールで味方を覆い光による混乱を防いだ。そして読み通りヨノワールが拳に氷を纏わせるのに対し続けてチルタリスが自らの羽毛を体に纏い物理攻撃を弾く守りを敷く。こうしている間にもボーマンダの咆哮は相手の体力を削っている。この一撃を受けきればヨノワールとシャンデラは倒れる。
はずだった。
「……ドラコ、早く指示を!!」
「何!?」
アルカの焦った声に驚き目を瞬く。するとヨノワールの氷の腕はそもそも放たれておらず攻撃を受けた様子はないのに自分の竜たちが急に力を奪われたように地面に落ちるのが見えた。ドラコが状況を理解する前にヨノワールが拳を構える。拳に黒い怨念が集まり何倍にも巨大化していく。
「彼の拳に集まれ、私の
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