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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十八話 第七次イゼルローン要塞攻防戦(その8)
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スト・ステージは終了だ、今度はセカンド・ステージだ。
「宇宙艦隊の中核は全滅しました。新たに再建するとなれば穴を埋めるのは貴方達という事になりますね。新司令長官はオフレッサー元帥か、手強い相手になりそうだ……。クレメンツ教官、私は良い教え子だと思いますよ、教官を宇宙艦隊の中核に押し込んだんですからね」
『馬鹿な』
クレメンツが顔を顰めた。
「それにしてもクレメンツ教官、余計な事をしてくれましたね」
俺の言葉にクレメンツが身構えるのが分かった。俺が怖いのかな、だとしたら良い傾向だ。
『余計な事とは?』
「オフレッサー元帥府に帝国でも一線級の指揮官を集めた、ロイエンタール、ビッテンフェルト、ワーレン、ミッターマイヤー、ミュラー……、皆貴方の教え子です、そうでしょう」
『……それがどうかしたか』
「何のためにイゼルローンで七百万人を捕殺したと思っているんです? 彼らを殺す為ですよ」
『馬鹿な、何を言っている……』
クレメンツの声が震えている。ラインハルトとケスラーがギョッとした表情で俺を見ている。まだまだ、これからだ。
「彼らは有能です。馬鹿な指揮官では彼らは使えない、いずれ彼らはミューゼル提督の所に行く。だからその前に殺してしまおうと思ったのです。ミューゼル提督と彼らが一緒になれば厄介ですからね。それなのに……、シュターデン教官も役に立たない、戦術が重要だと言いながら戦術能力に優れた人物を簡単に手放してしまうのですから……。所詮は理論だけの人だ」
『そのために七百万の帝国人を捕殺したと言うのか』
震えているのは声か、体か、それとも心か……。
「帝国軍に打撃を与えると言う目的も有りました。でも主目的はそちらです。捕殺できたのはメルカッツ、ケンプ、ルッツ、ファーレンハイト……。皆教官と接点の無い人ばかりですよ。当初の予定の半分にも満たない。おまけに気が付けばあなたの他にケスラー、メックリンガー、アイゼナッハまで揃っている」
全くだ、バグダッシュからリストを見せられた時はうんざりした。クレメンツ教官、あんたは本当に余計な事をしてくれたよ。
『……ヴァレンシュタイン』
『騙されるな、クレメンツ少将。ハッタリだ』
ケスラーが厳しい表情で俺を睨んでいる。クレメンツがハッとした表情を見せた。ケスラー、カストロプの話が終わって少しは元気が出たか。それとも此処で俺をやり込めてカストロプの話も出鱈目だと持っていくつもりかな。
「おやおや、私を嘘吐き呼ばわりですか、ケスラー少将」
『卿は我々の事など碌に知るまい。適当な事を言って我々を捕殺された将兵の家族に恨まれるようにしようとしている。そうだろう』
クレメンツが、そしてラインハルトが俺を見た。先程まであった恐怖は無い、良い仕事をするな、ケスラー。だがな、
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