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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十八話 第七次イゼルローン要塞攻防戦(その8)
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くなる、多分最後は皆笑えるだろう。
「私がカストロプ公を殺したという事かな、だとすると因果応報というところですね」
『因果応報? どういう事だ?』
『クレメンツ少将、戯言だ、相手にするな』
必死だな、ケスラー、だがもう遅い。
「戯言ですか、ケスラー少将。真実を戯言として葬り去る……、余程に都合が悪いようですね。貴方も御存じなのでしょう、私の両親を殺したのがカストロプ公だという事を、それも戯言ですか」
ケスラーが顔を強張らせて沈黙した。お前の負けだ、ケスラー。真実に勝る武器は無し、俺は剣を持ちお前達には楯は無い。黙って切り刻まれろ。
『馬鹿な、あれはリメス男爵家の……』
喘ぐようにクレメンツが言葉を出した。
「違いますよ、カストロプ公です。イゼルローン要塞でフロトー中佐に言われました。“カストロプ公にお前を殺せと言われた。因縁だな、お前の両親も俺が殺した。お前達親子はとことんカストロプ公に嫌われたらしい”とね」
「多分何処かの貴族の相続問題にでも絡んでの事でしょう。あの業突張りのロクデナシが。他人を踏み潰すことを何とも思わない、まさに門閥貴族の典型ですよ」
母さん、ごめん。俺もどうしようもないロクデナシでクズだ。母さんを利用させてもらう。
「フロトー中佐が言っていました。“お前は母親に似ている。あれは好い女だった”と、あのクズが!」
『止せ! ヴァレンシュタイン』
止めたのはラインハルトだった。ブルブルと震えている。
「リヒテンラーデ侯は帝国を守るためにカストロプ公を用意した。カストロプ公は悪業の限りを尽くし私の両親を殺し私も殺そうとした。私は同盟に亡命しヴァンフリートで三百万人殺した。そしてカストロプ公はその責めを負わされた。今度はイゼルローンで七百万人殺しました。リヒテンラーデ侯はどうするかな? 平民から憎まれている貴族を二人か三人、殺すか……。それで平民の不満を抑えられて帝国が守れるなら安いものか」
『もう止せ! ヴァレンシュタイン!』
「……そうですね、この話は余り面白いものじゃない。特に帝国人にとっては惨めな話でしょう。自分達の住む国の為政者が弱者を犠牲にすることで王朝を守ろうとしているのですからね。何のためにこの国を守るのか……、皆疑問に思うでしょう」
俺の言葉にスクリーンの三人が顔を強張らせた。分かったか、これは戦争なんだ。しかも圧倒的にお前達に分の悪い戦争だ。だが通信を切ることは出来ない、切ればその時点で敗北が決定する。
聞くのが辛いか、ラインハルト。そうだろうな、お前ならそうだろう。だがな、俺はお前にじゃなくお前以外の帝国人に聞かせたいんだ、帝国を分裂させる、平民対貴族、そして貴族対貴族、不和の種をばらまいてやる、それが目的なのだ。まあお前は十分に協力してくれた。ファー
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