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マイ「艦これ」「みほ2ん」
第44話<日向の涙>
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ろうが艦娘の腕力は侮れない。特に力んでなくても彼女たちに確保された男性は容易に離れることが出来なくなる。

(あ痛てて……)
お、お前はアマゾネスか? 失礼ながら一瞬そんな連想がよぎった。

 だが彼女の純粋な気持ちを思うと邪険にも扱えない……私は、ただ苦笑して冷や汗(脂汗)をかくばかりだ。

 日向は私の胸に顔を押し付けながら絞り出すように言った。少し声が震えている。
「もし私が艦娘でなければ! 司令のご苦労や苦悩を、もっと理解して差し上げられたのに……悔しいです!」

「いや、そんなことはない」
どうして彼女はここまでクソ真面目に成れるのだろうかと思うんだ。

 そこまで根を詰めなくても……ただ単に私が、お馬鹿なだけだ。つくづくそう思うんだが。

 それでも純粋な彼女の気持ちは痛いほどに嬉しい。

「……」
日向の体が小刻みに震えている。別に意味でギョッとした。

(あれ……日向、お前もしかして泣いてるのか?)
 お前でも涙を流すことあるのか。

 恐らく『涙を流すなんて絶対に有り得ない艦娘』の筆頭に数えられる日向だ。逆に彼女を、そこまで思い詰めさせてしまった自分の不甲斐なさに呆れた。

(やれやれ……もはや自分が極悪人に思えてきた)

 だが私は、ここで悩む。
物語の定番(セオリー)通り今、この子を抱きしめるべきか、否か?

 しかし指揮官として一人の兵士である艦娘=日向に対して個人的な感情を抱くのも問題だ。

 もし彼女とケッコンするのなら話は別だろうが……いきなりそれは有り得ない。

 悶々としていたそのとき目と鼻の先にある美保鎮守府から別の軍用車が近づく音がした。それを聞いた私と日向は反射的に、お互いの身体を離した。

(正直ホッとした)
妙な解放感と筋肉痛で私は少しよろめいた。

 しかし、そんな私に向かって日向は急に敬礼をする。

「えっ?」
咄嗟(とっさ)のことに私は驚く。

 同時に日向の足下の水がザブンと跳ねた。そして今しがた彼女が顔を埋めた私の胸にも水が飛んできた。
「冷たいっ!」

(あ……)
その時、私は『しまった』と思った。

 つまり先ほどまでの珍しい(レアな)日向の『涙』は永遠の謎になってしまったわけだ。
(まさか日向、わざとやったのか?)

(いぶか)しがる私に構わず彼女は続けた。
「航空戦艦『日向』もう迷いません! 全力で敵と戦い、時には引いて……粉骨砕身、完全に司令に従う所存です!」

 ……おい! さっきから、どうしたんだ日向?
今日のお前は『らしく』ない、変だぞ!

すると直ぐに2機の瑞雲が同じ水路に着水してきた。
「え?」

やがてハルともう一人の妖精がキャノピーを開いて……私に敬礼した。
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